仮払金とは?「とりあえず払ったお金」をどう処理する?

簿記入門

「仮払金」という勘定科目を見たことはありますか?

経理ではよく使われる言葉ですが、普通の生活ではあまり聞かない言葉ですよね。

しかも、

「お金を払ったのに、なぜ費用じゃないの?」

と疑問に思う人も多いと思います。

仮払金を一言でいうと、

「使い道や金額がまだ確定していないけれど、とりあえず先に払ったお金」

です。

この記事では、仮払金がなぜ必要なのか、どのように処理するのかを、できるだけ簡単に説明します。


仮払金とは?

仮払金とは、

あとで使い道や金額を確認して精算するために、会社が一時的に支払ったお金

です。

代表的なのが、社員の出張です。

例えば、社員が3日間の出張に行くことになったとします。

交通費やホテル代など、いくらかかるかはまだ正確には分かりません。

そこで会社が、

「とりあえず10万円渡しておくので、帰ってきたら精算してください」

と社員に10万円を渡しました。

この10万円が、

仮払金

です。


仮払金の流れをイメージしよう

仮払金は、次のような流れで考えると分かりやすいでしょう。

① 社員が出張に行く

② いくら使うか、まだ正確には分からない

③ 会社がとりあえず10万円を渡す

④ 仮払金として処理する

⑤ 出張から戻る

⑥ 実際に使った金額を確認する

⑦ 仮払金を正しい費用に振り替える

つまり、

仮払金は「とりあえず入れておく一時的な箱」

と考えるとイメージしやすいでしょう。


「お金を払ったのに、なぜ費用じゃないの?」

ここが仮払金の一番大切なポイントです。

例えば、社員に10万円を渡した時点で、

「10万円の費用が発生した!」

と考えてしまいそうですよね。

でも、まだ分かっていないことがあります。

その10万円を、実際に何に使ったのか?

です。

例えば、

  • 電車代に2万円
  • ホテル代に4万円
  • タクシー代に1万円
  • 食事代に1万円

だったとすると、実際の費用は合計8万円です。

残りの2万円は、会社に返してもらうことになります。

つまり、最初に10万円を渡した時点では、

「10万円の費用が発生した」とはまだ確定していない

のです。

そのため、いったん、

仮払金

として処理します。


仮払金は「資産」

ここも初心者の方が「?」となりやすいところです。

仮払金は、

資産

に分類されます。

「でも、お金を払ったのだから費用じゃないの?」

と思いますよね。

ポイントは、

まだ会社の費用として確定していない

ということです。

社員に10万円を渡した時点では、

会社からお金は出ていきました。

しかし、社員が実際にいくら使ったのかは、まだ分かりません。

もし10万円のうち2万円を使わなかったら、その2万円は会社に戻ってきます。

つまり会社から見ると、

「あとで精算してもらう権利」

が残っています。

そのため、仮払金は資産として扱われます。


まずは仕訳を見てみよう

例えば、社員に出張費として10万円を仮払いしたとします。

この時点では、まだ実際の費用が確定していません。

仕訳は、

借方:仮払金 100,000円
貸方:現金 100,000円

です。

「現金」は10万円減っています。

一方で、

「仮払金」は10万円増えています。

つまり、

現金を10万円渡したけれど、まだ費用にはしていない

という状態です。


出張から帰ってきたら「精算」する

ここからが仮払金の本番です。

社員が出張から戻ってきて、

「実際に使った金額は8万円でした」

と領収書などを提出したとします。

すると、10万円の仮払金のうち、

8万円が実際の費用

だったことが分かります。

例えば、すべて旅費交通費だったとすると、

借方:旅費交通費 80,000円
借方:現金 20,000円
貸方:仮払金 100,000円

となります。

これで、

仮払金10万円 → 旅費交通費8万円+返金2万円

に整理されました。


仮払金が足りなかった場合は?

逆のケースもあります。

会社から10万円を渡したけれど、

実際には12万円かかったとします。

この場合、2万円足りません。

そこで会社が社員に追加で2万円を支払います。

仕訳は、

借方:旅費交通費 120,000円
貸方:仮払金 100,000円
貸方:現金 20,000円

となります。

最終的に、

仮払金はゼロ

になり、

実際にかかった12万円が費用

になります。


仮払金が余った場合

反対に、

10万円渡したけれど、

実際には7万円しか使わなかった場合。

3万円が余ります。

この3万円は会社に返してもらいます。

仕訳は、

借方:旅費交通費 70,000円
借方:現金 30,000円
貸方:仮払金 100,000円

です。

これで仮払金はゼロになります。


仮払金は「一時的な勘定科目」

ここが、仮払金を理解するうえでとても重要です。

仮払金は、

ずっと残しておくための勘定科目ではありません。

あくまでも、

「まだ内容が確定していないから、とりあえずここに入れておこう」

という一時的なものです。

そのため、

使い道や金額が分かったら、できるだけ早く本来の勘定科目に振り替えます。


仮払金と「前払金」は何が違う?

ここで、これまでの記事で出てきた、

前払金

と比べてみましょう。

名前が似ていますが、考え方は違います。

前払金

支払う内容が決まっている

けれど、

商品などをまだ受け取っていない

ときに使います。

例えば、

「商品を100万円で購入する契約をして、代金を先に払った」

前払金

です。


仮払金

一方、

何にいくら使うのかが、まだ確定していない

ときに使います。

例えば、

「出張に行く社員に、とりあえず10万円渡した」

仮払金

です。

つまり、

前払金=何に払うか決まっている

仮払金=何にいくら払うか、まだ確定していない

と考えると分かりやすいでしょう。


仮払金と「立替金」の違い

次回の記事で詳しく説明する予定の、

立替金

ともよく似ています。

この2つは、

「誰のためのお金なのか」

を見ると区別しやすくなります。

仮払金

会社のために使うお金を、先に渡す

例えば、

社員の出張費10万円を先に渡す

仮払金

です。


立替金

本来は他の人・会社が負担するお金を、会社が代わりに払う

例えば、

社員が負担するべき費用を会社が一時的に払った

あとで社員から返してもらう

立替金

です。

つまり、

仮払金=会社のために使うお金を、とりあえず先に渡す

立替金=他の人が負担するお金を、会社が代わりに払う

というイメージです。


「仮払金」「前払金」「立替金」を並べてみよう

ここまでの内容を整理すると、こうなります。

勘定科目どんなお金?ポイント
仮払金とりあえず先に払ったお金使い道・金額がまだ確定していない
前払金商品などの代金を先に払ったお金支払う内容が決まっている
立替金他人・他社の負担分を代わりに払ったお金あとで返してもらう

この3つは、

「何のためのお金なのか?」

を考えると区別しやすくなります。


仮払金で大切なのは「あとで精算する」こと

仮払金は、

「とりあえず払った」

だけでは終わりません。

その後、

実際にいくら使ったのか

を確認する必要があります。

例えば、

10万円を仮払い

実際には8万円使用

2万円返金

仮払金を精算

という流れです。

そのため、仮払金は、

「あとで精算することを前提とした一時的な勘定科目」

と覚えておくとよいでしょう。


仮払金をそのままにしてはいけない

仮払金は便利な勘定科目ですが、

「とりあえず仮払金にしておけばいい」

というものではありません。

内容が分かったら、

本来の費用や資産などに振り替える

必要があります。

例えば、

「仮払金10万円」

が何か月も残っていると、

「この10万円は一体何に使ったの?」

ということが分からなくなってしまいます。

経理では、仮払金の残高を定期的に確認し、未精算のものを放置しないことが大切です。


仮払金を一言でいうと?

仮払金を一言でまとめるなら、

「使い道や金額がまだ確定していないけれど、とりあえず先に払ったお金」

です。

そして、その後、

実際の使い道・金額が分かったら、正しい勘定科目に振り替える

というのが基本です。


まとめ

仮払金について、ポイントを整理してみましょう。

  • 仮払金は、とりあえず先に払ったお金
  • 使い道や金額がまだ確定していないときに使う
  • 代表例は、社員の出張費など
  • 仮払金は資産に分類される
  • 実際の内容が分かったら、費用などに振り替える
  • 余ったお金は返してもらい、不足したら追加で支払う
  • 仮払金は一時的な勘定科目

そして、前払金との違いは、

前払金=「何に払うか決まっている」

仮払金=「何にいくら使うか、まだ決まっていない」

と考えると分かりやすいでしょう。

簿記で「仮払金」が出てきたら、

「これは、まだ中身が確定していない、とりあえずのお金なんだ」

と考えてみてください。

それだけで、仮払金という少し難しそうな勘定科目が、ぐっと身近になります。

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