「未払費用」という言葉を見て、
「まだ払っていない費用のこと?」
と思うかもしれません。
そのイメージは間違っていません。
ただ、簿記では、「まだ払っていない」だけでは未払費用にはなりません。
ここが少し難しいところです。
例えば、
- 借入金の利息
- 家賃
- 保険料
- 給料
などのように、時間の経過に応じて少しずつ発生する費用があります。
こうした費用について、
すでに今期分が発生しているけれど、まだ支払っていない
ときに使われるのが、
未払費用
です。
今回は、前回の記事で紹介した「未払金」との違いも含めて、やさしく説明します。
「未払費用」って何?
未払費用を簡単にいうと、
すでに発生している費用を、まだ支払っていない状態
です。
ただし、特にポイントになるのが、
時間の経過に応じて発生する費用
だということです。
例えば、会社が銀行からお金を借りているとします。
借入金には利息がかかります。
この利息は、
「3月になったら突然発生する」
というものではありません。
時間が経つにつれて、少しずつ発生していきます。
3月末までに発生した利息は、
3月までの費用
です。
でも、実際の支払いが4月だったとしたら、
3月末の時点では、
費用は発生しているけれど、まだ支払っていない
という状態になります。
これが、
未払費用
です。
「未払金」と何が違うの?
ここが今回、一番覚えてほしいところです。
未払金も未払費用も、
「まだお金を払っていない」
という点では同じです。
では、何が違うのでしょうか?
イメージすると、
未払金
→ 何かを買った・サービスを受けた
→ その代金をあとで払う
未払費用
→ 時間が経つことで費用が発生している
→ その費用をまだ払っていない
という違いです。
例えば、
パソコンを購入した
「パソコン10万円を買った。支払いは来月」
これは、
未払金
です。
一方、
借入金の利息
「3月分の利息は発生している。でも支払いは4月」
これは、
未払費用
です。
つまり、
未払金=取引の代金がまだ未払い
未払費用=時間の経過などによって、今期の費用がすでに発生しているのに未払い
と考えると分かりやすいでしょう。
「時間の経過で発生する」ってどういうこと?
ここが、未払費用を理解するためのポイントです。
例えば、会社が毎月10万円の家賃を払っているとします。
4月1日から4月30日まで、その会社はオフィスを使っています。
つまり、4月という1か月間、
オフィスを使うというサービスを受けている
わけです。
その対価として10万円の家賃が発生します。
もし家賃の支払いが5月だったとしても、
4月にオフィスを使った以上、
4月分の家賃は4月の費用
と考えます。
でも、まだ支払っていません。
このような場合に、
未払費用
が登場します。
企業会計原則でも、未払費用は、継続して役務の提供を受ける契約について、すでに提供を受けた分の対価をまだ支払っていないものとして説明されています。
「未払費用」はなぜ必要なの?
ここで、
「まだお金を払っていないなら、支払ったときに費用にすればいいのでは?」
と思うかもしれません。
でも、それでは困ることがあります。
例えば、
3月に1か月分の家賃が発生した
↓
支払いは4月
だったとします。
もし4月に費用として処理すると、
3月の費用が4月に入ってしまいます。
これでは、
3月にどれくらい費用が発生したのか
が正しく分かりません。
そこで、
費用が発生した期間に、その費用を計上する
という考え方をします。
これが、未払費用を理解するうえで大切なポイントです。
仕訳にするとどうなる?
例えば、
3月末の時点で、3月分の支払利息10,000円が発生しているが、支払いは4月
とします。
3月の費用なので、3月に費用を計上します。
仕訳は、
借方:支払利息 10,000円
貸方:未払費用 10,000円
です。
これによって、
- 3月の費用 → 10,000円増える
- まだ払っていない義務 → 未払費用10,000円
となります。
翌月に支払ったら?
では、4月になって10,000円を支払ったとします。
このとき、
未払費用がなくなります。
仕訳は、
借方:未払費用 10,000円
貸方:普通預金 10,000円
です。
ポイントは、
4月にもう一度「支払利息」を計上しない
ことです。
3月の時点ですでに費用として計上しているからです。
流れとしては、
3月
費用が発生
↓
支払いはまだ
↓
未払費用を計上
↓
4月
実際に支払う
↓
未払費用がなくなる
という流れです。
未払費用は「負債」
未払費用は、
負債
です。
なぜでしょうか?
会社から見ると、
「すでに費用は発生している。でも、まだお金を払っていない」
からです。
つまり、
将来、お金を支払う必要がある
という義務があります。
そのため、貸借対照表では負債として扱います。
未払金と未払費用を並べてみよう
ここまでを表にすると、違いがかなり分かりやすくなります。
| 未払金 | 未払費用 | |
|---|---|---|
| 共通点 | まだ支払っていない | まだ支払っていない |
| ポイント | 取引の代金が未払い | すでに費用が発生している |
| イメージ | 「買ったけど、まだ払っていない」 | 「使った期間分の費用が発生したけど、まだ払っていない」 |
| 代表例 | パソコン・備品など | 利息・家賃など |
| 分類 | 負債 | 負債 |
つまり、
「まだ払っていない」というだけでは、未払金と未払費用を区別できません。
大切なのは、
「なぜ、まだ払っていないのか?」
です。
例えば、パソコンと利息で考えてみよう
パソコンを買った
会社がパソコンを10万円で購入しました。
支払いは来月です。
これは、
パソコンというものを購入した代金が未払い
なので、
未払金
です。
借入金の利息
一方、会社が銀行からお金を借りていて、3月分の利息が発生しています。
支払いは4月です。
これは、
3月という期間が経過したことで、3月分の利息が費用として発生した
ので、
未払費用
です。
この違いをイメージできると、かなり分かりやすくなります。
「未払費用」は決算で登場しやすい
未払費用は、特に決算整理で登場します。
例えば3月決算の会社で、
3月分の利息は4月に支払う
というケースです。
3月末にはまだ支払いをしていません。
でも、3月分の利息は3月の費用です。
そこで決算時に、
「3月分の費用は、ちゃんと3月に入れておこう」
と考えて、未払費用を計上します。
このように、未払費用は**「費用の発生した期間を正しくする」ための勘定科目**として重要です。
「未払金」「買掛金」との違いも整理しよう
ここまで来ると、これまでの記事とのつながりも見えてきます。
商品を仕入れて、あとで払う
→ 買掛金
商品以外のものを購入して、あとで払う
→ 未払金
時間の経過などによって当期の費用が発生していて、まだ払っていない
→ 未払費用
という整理です。
イメージすると、
商品を買った
→ 買掛金
パソコンを買った
→ 未払金
3月分の利息が発生した
→ 未払費用
となります。
迷ったときは「何に対する支払い?」と考える
簿記の問題で迷ったときは、
まず、
「何に対する支払いなのか?」
を考えてみましょう。
商品の仕入れ?
→ 買掛金
商品以外のものの購入?
→ 未払金
時間の経過によって発生する費用?
→ 未払費用
この3つを頭の中で並べておくと、かなり判断しやすくなります。
「未払費用」は難しく考えなくて大丈夫
「未払費用」という言葉は、最初は少し難しく感じます。
でも、
未払=まだ払っていない
費用=会社の活動のために発生したコスト
と分けて考えてみると、意味が見えてきます。
つまり、
「すでに費用は発生している。でも、まだお金を払っていない」
これが未払費用です。
特に、
時間が経つことで少しずつ発生する費用
をイメージすると理解しやすくなります。
まとめ
未払費用とは、
すでに発生している費用を、まだ支払っていないときに使う勘定科目
です。
特に、
利息や家賃など、時間の経過に応じて発生する費用
で登場します。
覚えておきたいのは、次の3つです。
商品を仕入れて、あとで払う
→ 買掛金
商品以外のものを購入して、あとで払う
→ 未払金
時間の経過などによって費用が発生していて、まだ払っていない
→ 未払費用
そして、未払費用を理解するときに大切なのが、
「お金をいつ払ったか」ではなく、「費用がいつ発生したか」
という考え方です。
3月に発生した費用なら、支払いが4月でも、3月の費用として考えます。
その「まだ払っていない部分」を表すのが、
未払費用
です。
「未払」という言葉だけを見ると難しく感じますが、
「もう費用は発生している。でも、お金はまだ払っていない」
と考えれば、イメージしやすくなります。
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