仮受金と預り金の違いとは?「とりあえず受け取ったお金」をどう見分ける?

簿記入門

「仮受金」と「預り金」。

どちらも会社がお金を受け取ったときに登場する勘定科目です。

そのため、

「仮受金と預り金って、何が違うの?」

と迷いやすいですよね。

実は、この2つの違いは、

「そのお金の正体が分かっているか?」

と考えると、とても分かりやすくなります。

この記事では、仮受金と預り金の違いを、初心者向けにやさしく解説します。


まず結論!仮受金と預り金の違い

最初に結論を見てみましょう。

仮受金預り金
共通点一時的に受け取ったお金一時的に受け取ったお金
ポイント何のお金なのか、まだ分からない誰のお金なのか、何のためのお金なのか分かっている
その後内容を確認して、本来の勘定科目に振り替える本来の相手に納付・返金などをする
分類負債負債
イメージ「とりあえず受け取った」「分かっていて預かっている」

一言でいうと、

仮受金=「何のお金か、まだ分からない」

預り金=「何のお金か分かっていて、預かっている」

です。


仮受金とは?

仮受金とは、

お金は受け取ったけれど、その入金が何のお金なのかがまだ分からないときに、一時的に使う勘定科目

です。

例えば、会社の銀行口座に、

100,000円

の入金があったとします。

ところが、

  • 誰からの入金なのか分からない
  • 何の代金なのか分からない
  • 売掛金の回収なのか分からない

という状態です。

この場合、いったん、

仮受金

として処理しておきます。

その後、入金の内容が分かったら、本来の勘定科目に振り替えます。


預り金とは?

一方、預り金とは、

他の人や会社などが負担するお金を、会社が一時的に預かっているもの

です。

代表的なのが、社員の給与から差し引く税金などです。

例えば、社員の給与から所得税10,000円を差し引いたとします。

この10,000円は、

会社の収益ではありません。

社員が負担する税金を、会社が一時的に預かっているだけです。

その後、会社が税務当局へ納付します。

このようなお金が、

預り金

です。


ここが一番大事!「分かっているか?」

仮受金と預り金を区別するとき、一番大切なのが、

「このお金は何なのか、分かっている?」

という質問です。

分からない

「誰から?」

「何のため?」

「何の入金?」

↓

仮受金


分かっている

「これは社員が負担する所得税」

「これは住民税」

「これは社会保険料」

↓

預り金

です。

つまり、

仮受金=入金の正体がまだ分からない

預り金=入金の正体が分かっている

という違いです。


具体例で比べてみよう

ケース① 誰からの入金か分からない

会社の銀行口座に10万円が入金されました。

しかし、銀行の入金明細を見ても、

「誰からの、何のための入金なのか分からない」

という状態です。

この場合、

仮受金

として一時的に処理することがあります。

その後、入金内容を確認して、

「取引先からの売掛金の回収だった」

と分かったら、売掛金の回収として処理します。


ケース② 給与から所得税を預かった

社員の給与から所得税10,000円を差し引きました。

この10,000円については、

「社員が負担する所得税」

ということが最初から分かっています。

会社は、このお金を一時的に預かって、あとで納付します。

この場合は、

預り金

です。


仮受金の流れ

仮受金は、次のような流れです。

① 銀行口座に入金される

↓

② 何のお金か分からない

↓

③ 仮受金として処理する

↓

④ 入金内容を確認する

↓

⑤ 本来の勘定科目に振り替える

例えば、

「売掛金の回収だった」

と分かったら、仮受金から売掛金の回収へ振り替えます。

つまり、

仮受金は「お金の正体が分かるまでの一時的な置き場所」

と考えると分かりやすいでしょう。


預り金の流れ

預り金の場合は少し違います。

例えば、給与から所得税を預かった場合、

① 給与を計算する

↓

② 所得税を給与から差し引く

↓

③ 会社が預かる

↓

④ 預り金として処理する

↓

⑤ 税務当局へ納付する

↓

⑥ 預り金がなくなる

という流れです。

預り金の場合は、最初から、

「誰のお金で、何のためのお金なのか」

が分かっています。


仕訳で比べてみよう

仮受金の場合

銀行口座に100,000円の入金があったものの、内容がまだ分からない場合。

借方:普通預金 100,000円
貸方:仮受金 100,000円

とします。

後日、これが売掛金の回収だったと分かった場合、

借方:仮受金 100,000円
貸方:売掛金 100,000円

として振り替えます。

これで仮受金はゼロになります。


預り金の場合

例えば、社員の給与から所得税10,000円を預かった場合。

給与300,000円、所得税10,000円、その他の控除はないものとすると、

借方:給料 300,000円
貸方:普通預金 290,000円
貸方:預り金 10,000円

となります。

その後、所得税10,000円を納付すると、

借方:預り金 10,000円
貸方:普通預金 10,000円

となります。

これで預り金はゼロになります。


どちらも「負債」なのはなぜ?

仮受金と預り金は、どちらも、

負債

に分類されます。

「お金を受け取ったのに、なぜ負債なの?」

と思いますよね。

ポイントは、

会社が自由に使える自分のお金とは限らない

ということです。

仮受金

入金されたお金が何のお金なのか分かっていません。

場合によっては、

返金しなければならないお金

かもしれません。


預り金

こちらは、そもそも会社のお金ではありません。

例えば所得税なら、

あとで納付する義務

があります。

つまり、どちらも将来的に何らかの形で処理する必要があるため、負債として扱われます。


「会社の口座にある=会社のお金」ではない

ここは、会計を理解するうえで大切な考え方です。

例えば、

会社の銀行口座に100万円ある

↓

「100万円全部が会社のお金」

とは限りません。

その中に、

  • 預り金
  • 仮受金
  • 借入金
  • その他の負債

などが含まれている可能性があります。

会計では、

「銀行口座にいくらあるか」

だけではなく、

「そのお金は最終的に誰のものなのか?」

を考えます。


仮受金と預り金を見分ける3つの質問

迷ったときは、次の3つを順番に考えてみましょう。

① 何のお金か分かっている?

NO

↓

仮受金

を考えます。

YES

↓

次へ進みます。


② 誰のお金なのか分かっている?

YES

↓

その人・会社のために一時的に預かっているなら、

預り金

を考えます。


③ あとで何をする?

内容を確認して、本来の勘定科目に振り替える

↓

仮受金

本来の相手に納付・返金などをする

↓

預り金

この3つを意識すると、かなり区別しやすくなります。


仮受金と「売掛金の回収」はどう違う?

ここも初心者が迷いやすいところです。

例えば、取引先から100,000円が入金されたとします。

その入金が、

「売掛金100,000円の回収」

だと分かっているなら、

最初から売掛金の回収として処理できます。

一方、

「誰からの何の入金なのか分からない」

のであれば、いったん仮受金として処理することがあります。

つまり、

内容が分かっている → 本来の勘定科目で処理

内容が分からない → 仮受金で一時処理

という考え方です。


預り金は「分かっているから預かる」

預り金の場合は、

「何のお金なのか分からない」

わけではありません。

むしろ逆です。

例えば、

「これは社員の所得税です」

「これは社員の住民税です」

「これは社員負担分の社会保険料です」

というように、

何のお金なのかが明確です。

だから、

「預り金」

として処理できます。


仮受金と預り金の違いをイメージで覚えよう

とても簡単にイメージすると、

仮受金

「あれ? この入金、何だろう?」

↓

とりあえず仮受金

↓

調べる

↓

正しい勘定科目へ


預り金

「これは○○さんの税金だ」

↓

会社が一時的に預かる

↓

あとで納付・返金

↓

預り金がなくなる

この違いです。


「仮払金」と「仮受金」もセットで覚えよう

ここまでの記事を読んでいる方なら、

仮払金

と

仮受金

も一緒に覚えると、さらに分かりやすくなります。

仮払金

とりあえず払った

↓

まだ何に使ったか分からない

↓

あとで精算する


仮受金

とりあえず受け取った

↓

まだ何のお金か分からない

↓

あとで内容を確認する


つまり、

仮払金=「とりあえず払った」

仮受金=「とりあえず受け取った」

です。


「立替金」と「預り金」もセットで考える

さらに、

立替金

と

預り金

も対比できます。

立替金

他の人が負担するお金を、会社が代わりに払う

↓

あとで返してもらう

↓

立替金


預り金

他の人が負担するお金を、会社が受け取って預かる

↓

あとで納付・返金する

↓

預り金


このように、

立替金=代わりに払う

預り金=代わりに預かる

と考えると、こちらも理解しやすくなります。


仮受金と預り金は、ずっと残しておくものではない

どちらも、

一時的な勘定科目

です。

仮受金

入金内容を確認したら、

本来の勘定科目に振り替える

必要があります。

預り金

税金などを納付したり、必要な相手に返金したりしたら、

預り金を消します。

そのため、経理では、

「仮受金や預り金の残高が残っていないか?」

を定期的に確認することが大切です。


まとめ

仮受金と預り金の違いを整理してみましょう。

  • 仮受金は、何のお金なのかまだ分からない入金を一時的に処理するもの
  • 預り金は、他の人や会社が負担するお金を一時的に預かっているもの
  • 仮受金も預り金も負債に分類される
  • 仮受金は、内容が分かったら本来の勘定科目に振り替える
  • 預り金は、あとで納付・返金などをする
  • 仮受金=「何のお金か分からない」
  • 預り金=「何のお金か分かっていて、預かっている」

一番覚えておきたいのは、

仮受金=「この入金、何だろう?」

預り金=「これは○○さんのお金だ。いったん預かっておこう」

という違いです。

会計では、

「お金を受け取った」

という事実だけを見るのではなく、

「そのお金は何のためのお金なのか?」

を考えることが大切です。

そう考えると、「仮受金」と「預り金」の違いも、丸暗記しなくても自然に分かるようになります。

勘定科目は名前を覚えるより、「そのお金は最終的にどうなるのか?」を考えると理解しやすくなります。

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