経理の仕事をしていると、イライラしたり、腹が立ったり、もやもやしたり、がっかりしたりすることはありませんか?
何度お願いしても資料を提出してもらえない。急な依頼が入って、予定していた仕事が進まない。きちんと対応しているのに、なぜかこちらが責められる。
そんなことが重なると、仕事そのものだけでなく、人間関係にも疲れてしまうことがあります。
経理は、数字を扱う仕事です。正確さや冷静さが求められる場面も多く、感情を表に出さずに対応しなければならないこともあります。
でも、経理担当者も一人の人間です。いつも冷静でいられるわけではありません。
大切なのは、ネガティブな感情を一切持たないことではなく、自分の感情を理解し、必要以上に振り回されずに仕事と向き合うことです。
今回は、経理の仕事で生まれやすいネガティブな感情と、その付き合い方について考えてみます。
経理の仕事では、なぜネガティブな感情が生まれるのか?
経理の仕事で感情が揺れ動くのには、いくつかの理由があります。
必要な資料が集まらず、仕事が進まない
経理の仕事は、自分だけで完結するものばかりではありません。
請求書や経費精算の資料を他部署から提出してもらったり、取引の内容を担当者に確認したりする必要があります。
ところが、期限を過ぎても資料が届かない。何度連絡しても返事がない。
こちらは決算の期限に間に合わせなければならないのに、必要な情報がそろわず、仕事が止まってしまいます。
「なぜ、こちらから何度も催促しなければならないのだろう」
そう感じてしまうのも、無理はありません。
自分の責任ではないのに、責められたように感じる
経理は、数字の誤りや処理の漏れを確認する役割を担うことがあります。
そのため、取引の内容に問題があったり、資料の提出が遅れたりした場合でも、経理が対応に追われることがあります。
さらに、問題が発生したときに、経緯を十分に確認しないまま経理の責任であるかのように扱われると、腹が立ったり、理不尽さを感じたりすることもあるでしょう。
忙しいのに、仕事が増えるばかり
自分の担当業務を進めている途中で、急な依頼が入る。
別の人の仕事をフォローすることになる。予定していた作業を後回しにして対応したのに、また新しい仕事が入ってくる。
こうした状況が続くと、「自分ばかり忙しい」「いつになったら自分の仕事が終わるのだろう」と感じることがあります。
目の前の仕事をこなしているのに、達成感を得られない。むしろ、終わらない仕事に追われている感覚が強くなることもあります。
頑張っているのに、評価されない
経理の仕事には、問題が起きないように事前に確認する仕事や、他部署が困らないように調整する仕事もあります。
こうした仕事は、うまく対応できれば、何事もなかったように見えることがあります。
一方で、問題が起きたときには、すぐに対応を求められます。
日々、細かい確認や調整を積み重ねているのに、その努力が周囲に伝わらない。そんなとき、がっかりしたり、仕事への意欲が下がったりすることもあるでしょう。
このように、経理の仕事では、単に業務量が多いというだけでなく、人とのやり取りや責任の重さ、評価への不満など、さまざまな理由で感情が揺れ動きます。
対処法① ネガティブな感情を無理になくそうとしない
イライラしたとき、「こんなことで腹を立ててはいけない」「もっと大人にならなければ」と、自分の感情を否定してしまうことはありませんか?
もちろん、感情に任せて相手を責めたり、きつい言葉をぶつけたりすることは避けたいものです。
ただし、怒りやもやもやを感じること自体が、悪いわけではありません。
例えば、何度お願いしても資料が提出されないことに腹が立つのは、決算の期限を守りたいからかもしれません。
自分ばかり仕事を抱えていると感じるのは、負担が偏っていることに気づいているからかもしれません。
頑張っているのに評価されないと感じるのは、自分の仕事をきちんと見てほしいという気持ちがあるからかもしれません。
ネガティブな感情の背景には、自分が大切にしていることや、満たされていないと感じていることが隠れている場合があります。
まずは、無理に感情を消そうとするのではなく、
「自分は今、何に対してイライラしているのだろう?」
と、自分の気持ちを認識してみましょう。
感情を認識することと、その感情のまま行動することは別です。
腹が立っていても、相手にどのように伝えるかは選ぶことができます。がっかりしていても、次に何をするかは考えられます。
自分の感情を否定せず、まずは気づくこと。それが、感情に振り回されないための第一歩です。
対処法② 感情が大きく動いているときは、すぐに反応しない
腹が立っているときは、すぐに相手に言い返したくなったり、強い言葉でメールを送りたくなったりすることがあります。
しかし、感情が大きく動いているときは、普段よりも冷静な判断が難しくなることがあります。
その場で反応した結果、必要以上に相手を責めてしまったり、後から「もう少し違う伝え方ができたかもしれない」と後悔したりすることもあります。
そんなときは、すぐに行動する必要があるのか、一度考えてみましょう。
- 緊急でなければ、メールの返信を少し待つ
- 強い言葉で書いてしまったら、送信する前に読み直す
- その場で言い返す代わりに、事実関係を整理する
- 可能であれば、少し席を離れて気持ちを落ち着かせる
例えば、資料の提出が遅れている相手に対して、
「何度もお願いしているのに、どうして提出してくれないのですか?」
と送りたくなったとします。
しかし、実際に必要なのは、相手を責めることではなく、資料を提出してもらい、業務を進めることです。
そこで、
「決算スケジュールの都合上、〇日までに資料が必要です。提出が難しい場合は、提出可能な日程をご連絡いただけますでしょうか。」
という伝え方にすれば、感情をぶつけることなく、必要な行動を促すことができます。
怒りを感じないようにするのは難しくても、怒りをどのような言葉や行動に変えるかは工夫できます。
対処法③ 感情と、解決すべき問題を分けて考える
仕事でイライラしたときは、感情と、実際に解決しなければならない問題が混ざってしまうことがあります。
例えば、他部署からの資料提出が遅れている場合。
「何度も催促しなければならないことに腹が立つ」という感情と、「資料が届かないために決算作業が止まっている」という問題は、分けて考えることができます。
感情だけに注目していると、相手への不満ばかりが頭に残ってしまうかもしれません。
一方で、解決すべき問題を整理すると、次に取るべき行動が見えてきます。
- 資料の提出期限を明確にする
- 期限までに提出できない場合の連絡を求める
- 遅延が決算に与える影響を共有する
- 必要に応じて上司に状況を報告する
- 繰り返し発生する場合は、提出ルールや業務フローを見直す
もちろん、問題を解決しても、感情がすぐに消えるとは限りません。
それでも、感情と問題を分けて考えることで、相手への不満だけにとらわれず、仕事を前に進めるための行動を選びやすくなります。
「腹が立つ」という気持ちと、「今、何をすべきか」は、別々に考えてよいのです。
対処法④ 自分がコントロールできることに集中する
仕事では、自分の思いどおりにならないことがたくさんあります。
相手がすぐに返信してくれるとは限りません。依頼した資料が期限どおりに届くとも限りません。自分が頑張ったからといって、必ず評価されるわけでもありません。
他人の行動や考え方を変えようとすると、思いどおりにならないたびに、ストレスがたまってしまいます。
そこで、少し視点を変えてみます。
自分で変えられることと、自分だけでは変えられないことを分けてみるのです。
| 自分だけでは変えにくいこと | 自分で工夫できること |
|---|---|
| 相手の性格や仕事の進め方 | 依頼内容や期限を明確に伝える |
| 相手がすぐに返信するかどうか | 回答期限を設定し、必要に応じてフォローする |
| 周囲が自分の仕事をどう評価するか | 成果や対応内容を記録し、適切に共有する |
| 急な依頼が発生すること | 優先順位を確認し、対応可能な時期を伝える |
これは、相手に問題があっても自分が我慢すればよい、という意味ではありません。
相手の行動を変えられない場合でも、業務の進め方を見直したり、期限や役割を明確にしたり、上司に相談したりすることはできます。
自分でできることに集中するのは、問題から目をそらすためではありません。限られた時間やエネルギーを、実際に状況を改善できることに使うためです。
対処法⑤ 「自分ばかり」と感じたら、仕事の負担を見える化する
忙しいときほど、周囲の仕事が目に入り、自分だけが大変な思いをしているように感じることがあります。
実際に、仕事の負担が偏っている場合もあるでしょう。
ただ、感情だけで考えていると、何がどれくらい負担になっているのか、自分でも整理できなくなることがあります。
そんなときは、担当業務や突発的な依頼、期限、対応にかかった時間などを、簡単に記録してみるのも一つの方法です。
例えば、次のような内容です。
- 当初予定していた業務
- 途中で追加された依頼
- 期限が重なっている業務
- 他部署の対応待ちによって発生した作業
- 残業や休日対応が必要になった理由
記録しておけば、自分の負担を客観的に振り返ることができます。
また、上司に相談するときも、「忙しくて大変です」と伝えるだけでなく、具体的な業務量や期限を示しながら、優先順位や担当分担を相談しやすくなります。
感情を整理することは、すべてを自分の中で解決することではありません。必要なときには、周囲に状況を伝え、仕事の進め方を変えていくことも大切です。
対処法⑥ 何でも自分の受け止め方の問題にしない
ここまで、感情との付き合い方について考えてきました。
ただし、一つ気をつけたいことがあります。
それは、仕事でつらいことがあるたびに、「自分の考え方を変えなければ」「もっと我慢しなければ」と考えすぎないことです。
例えば、明らかに業務量が多すぎる。責任の範囲が曖昧なまま仕事を押し付けられる。必要な協力を得られず、期限だけを守るよう求められる。
こうした状況では、気持ちを切り替えるだけでは解決できないこともあります。
その場合は、業務量や期限の調整を相談する、役割分担を明確にする、問題が繰り返される原因を確認するなど、仕事の環境そのものに働きかける必要があります。
また、強いストレスが長く続き、睡眠や日常生活に影響が出ている場合は、一人で抱え込まず、信頼できる人や社内外の相談窓口、医療の専門家などに相談することも考えてください。
感情をコントロールすることと、不合理な状況を我慢し続けることは違います。
自分の感情と向き合うことは、自分を責めるためではありません。自分を守りながら、よりよい働き方を考えるためでもあります。
感情が揺れ動く自分を、責めなくていい
経理の仕事では、正確さや冷静さが求められます。
数字の誤りを見つければ原因を確認し、問題があれば適切に処理する。期限があれば、それに間に合うように仕事を進める。
そうした仕事を日々続けていると、自分の感情にも同じように、いつも正しく対応しなければならないと思ってしまうかもしれません。
でも、人間の感情は、会計の数字のように、いつもきれいに整理できるものではありません。
イライラする日もあれば、腹が立つ日もあります。頑張ったのに報われないと感じる日も、仕事に疲れて何もしたくなくなる日もあるでしょう。
大切なのは、そうした感情を持たない人になることではありません。
自分が何に反応しているのかを知り、必要以上に引きずられない工夫をし、解決できる問題には具体的に対応していくことです。
そして、自分だけではどうにもならないことがあれば、周囲の力を借りてもよいのです。
経理の仕事を続けていくうえでは、会計の知識や処理能力だけでなく、自分の感情とうまく付き合うことも、一つの大切なスキルなのかもしれません。
まとめ|感情をなくすのではなく、感情に振り回されない働き方を
経理の仕事では、資料の提出遅れ、急な依頼、責任の押し付け合い、評価への不満など、さまざまな理由でネガティブな感情が生まれることがあります。
そんなときは、次のことを意識してみましょう。
- ネガティブな感情を否定せず、まずは自分の気持ちを認識する
- 感情が大きく動いているときは、すぐに反応せず少し時間を置く
- 感情と、実際に解決すべき問題を分けて考える
- 自分でコントロールできることに集中する
- 仕事の負担が大きいときは、業務を見える化して相談する
- 何でも自分の受け止め方の問題にせず、必要なら環境の改善を求める
感情が揺れ動くこと自体は、決して悪いことではありません。
その感情に気づき、少し立ち止まり、次にどう行動するかを考える。その積み重ねが、仕事との付き合い方を少しずつ変えていきます。

コメント