会計には、「明瞭性の原則」という考え方があります。
少し難しい言葉ですが、考え方はシンプルです。
財務諸表を見る人に、
会社の状態が分かりやすく伝わるようにする
という考え方です。
「正しい」だけでは十分ではない
会計では、数字を正しく計算することがもちろん大切です。
でも、財務諸表が正しい数字で作られていても、表示が分かりにくかったらどうでしょうか。
数字は正しい
+
でも、何の数字なのか分かりにくい
↓
財務諸表を利用する人が判断しにくい
これでは、せっかく作った財務諸表が十分に役立ちません。
そこで、「分かりやすく伝える」ことも会計では重要になります。
例えば、BSの表示
貸借対照表(BS)には、会社がどのような資産を持ち、どのような負債を抱えているのかが表示されます。
例えば、資産をただ一つの「資産」という項目にまとめてしまったらどうでしょうか。
資産 10億円
これだけでは、何を持っているのか分からない
現金はいくらあるのか、売掛金はいくらあるのか、建物はいくらあるのか。
こうした情報が分かるように、適切な区分や項目で表示することが大切です。
「見やすい」というだけではない
明瞭性というと、単に「きれいな財務諸表を作る」というイメージを持つかもしれません。
でも、ここでいう明瞭性は、単なるデザインの問題ではありません。
財務諸表を利用する人が、会社の財政状態や経営成績を適切に理解できるように情報を表示することが重要です。
財務諸表
↓
株主・投資家・債権者などが見る
↓
会社の状態を理解する
↓
意思決定に役立てる
つまり、財務諸表は「作って終わり」ではなく、「利用する人に伝わる」ことまで考える必要があります。
注記も明瞭性につながる
財務諸表だけを見ても分からない情報については、注記によって補足することがあります。
例えば、重要な会計方針や財務諸表を理解するために必要な情報などです。
これも、財務諸表を利用する人が会社の状況を理解するために重要な情報です。
「数字を出す」だけではなく、
「その数字を理解できるように伝える」
というのが明瞭性の考え方です。
正規の簿記の原則との違い
ここまで読んで、以前の記事で紹介した「正規の簿記の原則」と少し似ていると感じたかもしれません。
実は、両者は見る場所が違います。
正規の簿記の原則
「きちんと記録する」
取引を漏れなく、正しく、一定のルールに従って記録する。
明瞭性の原則
「分かりやすく伝える」
財務諸表を利用する人に、会社の状態が分かるように表示する。
つまり、
きちんと記録する
↓
正しい財務諸表を作る
↓
それを分かりやすく伝える
という流れで考えると分かりやすいでしょう。
明瞭性の原則を一言でいうと
「財務諸表は、見る人に分かりやすく」
これが、明瞭性の原則を理解する一番シンプルなイメージです。
まとめ
明瞭性の原則とは、
財務諸表を利用する人が、
会社の財政状態や経営成績を理解できるように、
分かりやすく表示するという考え方
です。
ポイントは、
- 財務諸表は正しいだけでなく、分かりやすいことも大切
- 適切な区分や項目で表示する
- 必要な情報は注記などで補足する
- 「きちんと記録する」のが正規の簿記の原則
- 「分かりやすく伝える」のが明瞭性の原則
会計は、数字を作ることがゴールではありません。
その数字から会社の姿が伝わることも、
大切な役割です。


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