公正価値(Fair Value)とは?「市場参加者から見た価値」を考える会計

会計の考え方

会計では、「公正価値(Fair Value)」という言葉が出てくることがあります。

英語ではFair Value(フェア・バリュー)といいます。

簡単にいうと、

「市場参加者から見て、今どれくらいの価値があるのか?」

という視点から、資産や負債の価値を考えるものです。

では、なぜ「公正価値」という考え方が必要なのでしょうか。

「自分ならいくら」ではない

例えば、会社が持っている株式について考えてみましょう。

会社が、

「この株は200万円くらいの価値があると思う」

と考えていたとしても、それだけで公正価値が200万円になるわけではありません。

公正価値では、市場参加者の立場から見た価格を考えます。

自分がいくらだと思うか

それだけでは公正価値とはいえない

市場参加者なら、いくらで取引すると考えられるか?

つまり、「自分にとっての価値」ではなく、「市場参加者から見た価値」というところがポイントです。

公正価値と「時価」は同じ?

ここは少し分かりにくいところです。

実は、日本基準とIFRSでは、基本的に同じ考え方を表すのに使っている言葉が違います。

日本基準IFRS
用語時価公正価値(Fair Value)
基本的な視点市場参加者の視点市場参加者の視点

日本基準の「時価の算定に関する会計基準」は、IFRS第13号の定めを基本的に取り入れて作られています。

そのため、会計を学ぶときには、

日本基準 → 「時価」

IFRS → 「Fair Value(公正価値)」

と覚えると分かりやすいでしょう。

なぜ「市場参加者」が基準なの?

例えば、ある会社が特殊な機械を持っているとします。

その会社にとっては非常に重要な機械なので、

「1,000万円の価値がある」

と考えているかもしれません。

しかし、市場参加者がその機械を500万円程度でしか購入しないのであれば、会社自身の評価額である1,000万円を、そのまま市場の価値と考えることはできません。

会社自身の評価

「1,000万円の価値がある」

市場参加者の視点

「500万円なら取引できそう」

公正価値では、「市場参加者なら、この資産をいくらと評価するだろう?」という視点が重要になります。

市場価格があれば、それを使えばいい

公正価値を考えるとき、一番分かりやすいのは、市場で実際に価格がついている場合です。

例えば、上場会社の株式なら、取引所で市場価格を確認できます。

市場で実際に取引されている

市場価格が分かる

公正価値を考える重要な情報になる

しかし、すべての資産に市場価格があるわけではありません。

市場価格がない場合は?

例えば、ほとんど取引されていない特殊な資産だったらどうでしょうか。

「市場価格がないから、公正価値は分からない」というわけではありません。

市場価格が直接分からない場合でも、利用できる市場情報や評価方法などを使って、市場参加者ならどのような価格をつけるかという視点から合理的に算定します。

市場価格がある

その市場価格を利用する

市場価格がない

市場参加者の視点から合理的に見積もる

公正価値は「好きな金額」ではない

市場価格がないからといって、会社が好きな金額を、

「これが公正価値です」

と決めていいわけではありません。

できるだけ市場参加者の考え方や、市場から得られる情報を利用して、合理的に評価する必要があります。

「会社がそう思っている金額」ではなく、
「市場参加者ならどう評価するか」

「取得原価」とは考え方が違う

公正価値を理解するときは、取得原価と比べると分かりやすくなります。

取得原価公正価値・時価
基本的な視点いくらで取得したか現在いくらと評価されるか
時間の視点過去の取引現在の市場

どちらが必ず優れているということではありません。

何を財務諸表で伝えたいのかによって、適切な測定方法を考えることが重要です。

では、時価・公正価値のほうが正しいの?

ここは注意が必要です。

「時価・公正価値のほうが正しくて、取得原価は古いからダメ」という単純な話ではありません。

会計では、資産や負債の性質や、財務諸表を見る人にどのような情報を伝える必要があるのかによって、適切な測定方法を考えます。

例えば金融商品では、現在の市場価格が重要な意味を持つ場合があります。

一方、事業で使用する機械や建物などでは、取得した金額をもとに、その資産を使用する期間にわたって費用配分するという考え方も重要です。

「どの金額が正しい?」だけではなく、
「どの金額が財務情報として有用なのか?」

なぜ公正価値が重要なの?

財務諸表を見る人は、会社が現在どのような資産や負債を持っているのかを知りたいと考えます。

特に金融商品などでは、市場環境によって価値が変化します。

そのため、現在の市場を反映した価値を財務情報に伝えることが重要になる場合があります。

公正価値は、こうした「現在の価値」を財務諸表に伝えるための重要な考え方の一つです。

公正価値を一言でいうと

「市場参加者から見た、現在の価値」

これが、公正価値(Fair Value)を理解するための基本的なイメージです。

まとめ

公正価値(Fair Value)とは、市場参加者から見た現在の価値を考えるための概念です。

ポイントは、

  • 公正価値は英語でFair Value
  • 日本基準では基本的に対応する概念を「時価」と呼ぶ
  • IFRSでは「公正価値(Fair Value)」という用語を使う
  • 「自分にとっていくらの価値があるか」ではなく、市場参加者の視点から考える
  • 市場価格があれば、それが重要な情報になる
  • 市場価格がない場合でも、合理的な方法で市場参加者の視点から価値を算定する
  • 取得原価と時価・公正価値は、異なる視点から資産や負債を測定する考え方

日本基準では「時価」、IFRSでは「Fair Value」。
呼び方は違っても、基本的な考え方は整合しています。

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