発生主義と実現主義の違いとは?

会計の考え方

会計を勉強していると、「発生主義」と「実現主義」という言葉が出てきます。

どちらも会計の基本的な考え方ですが、少し似ているため、違いが分かりにくいかもしれません。

ざっくり整理すると、

発生主義
「いつ、経済的な事実が発生したか?」


実現主義
「いつ、収益を認識するか?」

という違いです。

まずは一言で違いを覚えよう

発生主義

「いつ発生した?」

収益や費用を、現金の動きだけではなく、経済的な事実の発生を基準に考える。

実現主義

「いつ収益にする?」

収益について、取引が実現した段階など、収益を認識できる時点を考える。

発生主義とは?

発生主義は、現金を受け取ったか、支払ったかだけではなく、経済的な事実がいつ発生したかを基準に考えるものです。

例えば、8月に電気を使い、9月に電気代を支払ったとします。

8月

電気を使用

↓

費用が発生

↓

9月

支払い

この場合、現金を支払った9月ではなく、8月に発生した費用として考えるのが発生主義の考え方です。

つまり、

「お金が動いた日」ではなく、「経済的な事実がいつ発生したか」

を見るわけです。

実現主義とは?

実現主義は、主に収益をいつ認識するかについての考え方です。

例えば、商品を100万円で販売したとします。

代金は翌月に受け取ることになっていたとしても、商品を顧客に引き渡し、収益を認識できる状態になれば、販売時点で売上を認識することがあります。

商品を販売

↓

顧客に商品を引き渡す

↓

収益を認識

↓

代金は翌月に受け取る

↓

売掛金として残る

ここでは、現金を受け取ったことではなく、収益を認識できる取引が実現したことがポイントになります。

なぜ、2つの違いが分かりにくいの?

実は、実務では発生主義と実現主義が同じタイミングになるケースが多いからです。

例えば、商品を販売した場合を考えてみましょう。

商品を顧客に販売

↓

商品を引き渡す

↓

収益を認識

この場合、取引による経済的な事実が発生するタイミングと、収益を認識するタイミングが近くなります。

そのため、簿記を勉強していると、

「結局、同じことなのでは?」

と感じることがあります。

でも、考えているポイントは違います。

費用を見ると、発生主義が分かりやすい

例えば、8月に従業員が働き、その給与を9月に支払うとします。

8月

働いてもらった

↓

費用が発生

9月

給与を支払った

↓

現金が減少

このように、費用については「いつ発生したのか」を考えることが重要です。

ここでは発生主義の考え方が分かりやすく出てきます。

2つを表にするとこうなる

発生主義実現主義
主に考えること収益・費用主に収益
ポイントいつ経済的な事実が発生したかいつ収益を認識するか
現金との関係現金の受払だけを基準にしない現金の受取だけを基準にしない

「発生主義」と「実現主義」はセットで覚えなくてもいい

この2つの言葉が出てくると、無理にセットで暗記したくなるかもしれません。

でも、まずは次のように考えておけば十分です。

発生主義
「いつ発生した?」

実現主義
「いつ収益として認識する?」

この違いが分かっていれば、2つの言葉が混ざりにくくなります。

現在の収益認識は、もう少し具体的なルールで考える

なお、現在の日本の会計では、収益については「収益認識に関する会計基準」によって、具体的な認識ルールが定められています。

そのため、現在の会計を「実現主義」という一言だけで説明するのは少し単純化しすぎています。

実際には、顧客との契約や履行義務の充足などを考えて、収益をいつ認識するのかを判断します。

ただ、簿記や会計の基本を理解するうえでは、

「発生主義は、経済的な事実の発生を見る」

「実現主義は、収益を認識するタイミングを見る」

と押さえておくと、かなり整理しやすくなります。

まとめ

発生主義と実現主義は、どちらも「現金が動いた日だけを見ない」という点では共通しています。

でも、見ているポイントが違います。

発生主義 → 「いつ経済的な事実が発生したか」

実現主義 → 「いつ収益を認識するのか」

この違いを押さえておけば、発生主義と実現主義をごちゃごちゃにすることは少なくなるでしょう。

会計では、「いつお金が動いたか」だけではなく、
「いつ経済的な事実が発生したのか」を考える。

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