簿記を勉強していると、
「買掛金と未払金って、どっちも後で払うお金じゃないの?」
「未払費用も、まだ払っていないなら未払金じゃないの?」
と思うことがあります。
たしかに、この3つはとてもよく似ています。
どれも共通しているのは、
「今はまだお金を払っていない」
ということ。
では、なぜわざわざ、
- 買掛金
- 未払金
- 未払費用
と分けるのでしょうか?
実は、**「何に対する支払いなのか」**を見ると、かなり簡単に整理できます。
まずは3つを一言で
最初に結論から見てみましょう。
買掛金
商品を仕入れて、あとで代金を払う
未払金
商品以外のものを買って、あとで代金を払う
未払費用
すでに費用が発生しているけれど、まだ払っていない
この3つです。
「後で払う」という点は同じですが、その理由が違うのです。
「買掛金」ってどんなもの?
まずは買掛金です。
買掛金は、
商品や原材料などを仕入れて、代金を後から支払うとき
に使います。
例えば、パン屋さんが販売するための小麦粉を10万円分仕入れたとします。
でも、
「代金は来月まとめて払ってください」
という取引だったとしましょう。
この場合、
商品を仕入れたけれど、まだお金を払っていない
ので、
買掛金
が発生します。
イメージとしては、
商品を仕入れる → あとで払う → 買掛金
です。
買掛金は、通常の営業活動から発生する未払いの債務です。
「未払金」ってどんなもの?
では、未払金です。
例えば会社が仕事で使うために、
パソコンを10万円で購入した
とします。
こちらも、
「支払いは来月でOK」
という後払いだったとしましょう。
まだお金を払っていません。
では、買掛金でしょうか?
違います。
パソコンは、会社が販売するための商品ではありません。
そのため、この場合は、
未払金
を使います。
つまり、
商品以外のものを買う → あとで払う → 未払金
と考えると分かりやすいでしょう。
例えば、
- パソコン
- 机
- コピー機
- 車
- 備品
などを購入して、代金を後払いにする場合などが該当します。
「未払費用」は少し違う
ここからが、少しややこしくなります。
未払費用も、
まだ払っていない
という点では同じです。
でも、未払金とは考え方が違います。
例えば、会社が銀行からお金を借りているとします。
借入金には利息がかかります。
3月分の利息は、3月の時間が経過することで発生しています。
でも、
実際に利息を支払うのは4月
だったとします。
この場合、
3月の時点で、
「3月分の費用はもう発生している。でも、まだ支払っていない」
という状態です。
これが、
未払費用
です。
つまり、
時間の経過などによって費用が発生する → まだ払っていない → 未払費用
というイメージです。
3つを並べると、こうなる
ここまでを表にしてみましょう。
| 勘定科目 | 何が起きた? | 代表例 | イメージ |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 商品などを仕入れた | 商品・原材料 | 商品を買って、あとで払う |
| 未払金 | 商品以外のものを購入した | パソコン・備品・車など | モノを買って、あとで払う |
| 未払費用 | すでに費用が発生した | 利息・家賃など | 費用は発生したけど、まだ払っていない |
どれも「未払い」ですが、
未払いになった理由が違う
と考えると分かりやすくなります。
一番簡単な見分け方
簿記の問題で迷ったら、次の順番で考えてみましょう。
STEP 1 商品を仕入れた?
YES
→ 買掛金
例えば、
「商品100,000円を仕入れ、代金は翌月払いとした」
なら、
買掛金
です。
STEP 2 商品ではないものを買った?
YES
→ 未払金
例えば、
「パソコン100,000円を購入し、代金は翌月払いとした」
なら、
未払金
です。
STEP 3 時間の経過などで費用が発生している?
YES
→ 未払費用
例えば、
「3月分の借入利息10,000円は4月に支払う」
なら、
未払費用
です。
「買掛金」と「未払金」は何が違う?
この2つは特に混同しやすいところです。
どちらも、
「何かを買った。まだ代金を払っていない」
という取引だからです。
違いは、
「何を買ったのか」
です。
商品を仕入れた
→ 買掛金
商品以外のものを買った
→ 未払金
例えば、
洋服を販売する会社が、販売するための洋服を100万円で仕入れた
→ 買掛金
一方、
その会社が仕事で使うパソコンを10万円で購入した
→ 未払金
となります。
「買った」という事実だけを見るのではなく、
「何を買ったの?」
と考えるのがポイントです。
「未払金」と「未払費用」は何が違う?
こちらも似ています。
例えば、
パソコンを購入して、代金を来月払う
→ 未払金
一方、
3月分の利息が発生しているが、支払いは4月
→ 未払費用
です。
違いを簡単に言えば、
未払金
→ 「買ったものの代金がまだ未払い」
未払費用
→ 「すでに費用が発生しているけれど、まだ未払い」
ということです。
具体例で比べてみよう
ここでは、3つを同じ会社の取引として考えてみます。
① 商品を仕入れた
会社が販売する商品を100万円で仕入れました。
代金は来月支払います。
これは、
買掛金
です。
仕訳は、
借方:仕入 1,000,000円
貸方:買掛金 1,000,000円
となります。
② パソコンを購入した
仕事で使うパソコンを10万円で購入しました。
代金は来月支払います。
これは、
未払金
です。
例えば仕訳は、
借方:備品 100,000円
貸方:未払金 100,000円
となります。
③ 3月分の利息が発生した
3月分の借入利息10,000円が発生しています。
しかし、支払いは4月です。
これは、
未払費用
です。
仕訳は、
借方:支払利息 10,000円
貸方:未払費用 10,000円
となります。
この3つを並べると、
商品を仕入れた
→ 買掛金
パソコンを買った
→ 未払金
3月分の利息が発生した
→ 未払費用
という違いが見えてきます。
なぜ3つに分けるの?
「全部、あとで払うお金なら、一つにまとめてもいいのでは?」
と思うかもしれません。
でも、会社のお金の流れを正しく把握するためには、分けておいたほうが便利です。
例えば、
買掛金が増えている
なら、
「商品の仕入れに対する支払いがまだ残っているんだな」
と分かります。
一方、
未払金が増えている
なら、
「パソコンや備品など、商品以外の購入代金が残っているのかな」
と考えることができます。
さらに、
未払費用が増えている
なら、
「当期に発生した費用で、まだ支払っていないものがあるんだな」
と分かります。
つまり、勘定科目を分けることで、
「会社が何に対してお金を払う予定なのか」
が見えやすくなります。
3つとも「負債」
もう一つ共通していることがあります。
それは、
3つとも負債
だということです。
なぜなら、
将来、お金を支払わなければならない義務
を表しているからです。
例えば、
買掛金10万円がある
↓
将来10万円を支払う
未払金10万円がある
↓
将来10万円を支払う
未払費用10万円がある
↓
将来10万円を支払う
というように、
会社から見ると、どれも**「これから支払う必要があるもの」**です。
「未払い=全部未払金」ではない
ここは、ぜひ覚えておきたいポイントです。
初心者のうちは、
「まだ払っていないから、未払金!」
と考えてしまいがちです。
でも、これは違います。
「まだ払っていない」という情報だけでは、勘定科目は決まりません。
まず、
何に対する支払いなのか?
を考えます。
そして、
商品を仕入れた?
→ 買掛金
商品以外のものを買った?
→ 未払金
時間の経過などで費用が発生している?
→ 未払費用
と整理します。
迷ったら、この3つだけ覚えよう
最後に、できるだけ簡単にまとめます。
商品を仕入れて、あとで払う
買掛金
商品以外のものを買って、あとで払う
未払金
費用がすでに発生していて、あとで払う
未払費用
つまり、
「何を買ったの?」
「なぜ、まだ払っていないの?」
この2つを考えると、3つの違いが見えてきます。
まとめ
買掛金・未払金・未払費用は、どれも**「まだ支払っていない」という共通点**があります。
でも、それぞれ意味が違います。
買掛金
→ 商品・原材料などを仕入れて、あとで支払う
未払金
→ 商品以外のものを購入して、あとで支払う
未払費用
→ すでに費用が発生しているけれど、まだ支払っていない
覚え方としては、
商品を買った → 買掛金
商品以外を買った → 未払金
時間の経過などで費用が発生した → 未払費用
でOKです。
「未払いだから未払金」と一括りにせず、
「何に対する未払いなのか?」
と考える。
これが、3つの勘定科目を理解する一番のポイントです。
会計の言葉は、一見すると難しそうに見えます。
でも、こうやって**「なぜ、その名前の勘定科目になるのか」**を考えてみると、意外とシンプルです。
簿記は、暗記だけではありません。
取引の中身を考えると、勘定科目の意味が見えてきます。


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