「仮受金」という勘定科目を見たことはありますか?
会社の銀行口座にお金が入ってきたけれど、
「このお金は何のお金だろう?」
となることがあります。
そんなときに登場するのが、
仮受金
です。
仮受金を一言でいうと、
「お金は受け取ったけれど、何のお金なのかがまだ分からないため、一時的に処理しておくもの」
です。
この記事では、仮受金がなぜ必要なのか、どんなときに使うのかを、初心者向けにやさしく説明します。
仮受金とは?
仮受金とは、
入金はあったけれど、その入金の内容や相手先などがまだ分からないときに、一時的に使う勘定科目
です。
例えば、会社の銀行口座に、
100,000円
の入金があったとします。
でも、通帳を確認しても、
「誰からの入金なのか分からない」
「何の代金なのか分からない」
という状態です。
この場合、
いったん仮受金として処理しておく
ことがあります。
そして、あとで入金の内容が分かったら、本来の勘定科目に振り替えます。
仮受金の流れをイメージしよう
仮受金は、次のような流れで考えると分かりやすいでしょう。
① 銀行口座にお金が入る
↓
② でも、何のお金なのか分からない
↓
③ いったん「仮受金」として処理する
↓
④ 入金の内容を確認する
↓
⑤ 本来の勘定科目に振り替える
つまり、
仮受金は「とりあえず受け取ったお金を、一時的に入れておく箱」
と考えるとイメージしやすいでしょう。
「お金を受け取ったのに、なぜ売上じゃないの?」
ここが仮受金の一番大切なポイントです。
例えば、会社の銀行口座に10万円が入金されました。
「お金が入ってきたのだから、売上10万円かな?」
と思うかもしれません。
でも、
本当に売上なのかは、まだ分かりません。
もしかすると、
- 売掛金の回収
- 借入金の入金
- 他社からの立替金の返金
- 誤って入金されたお金
かもしれません。
つまり、
入金があったことと、売上が発生したことは同じではありません。
そのため、内容が分からない段階では、
仮受金
として処理しておきます。
仮受金は「負債」
仮受金は、
負債
に分類されます。
「お金を受け取ったのだから、資産じゃないの?」
と思うかもしれません。
確かに、会社の銀行預金は増えています。
しかし、仮受金の場合、
そのお金が会社のものなのか、まだ分かっていません。
場合によっては、
あとで返さなければならないお金
かもしれません。
そのため、内容が確定するまでは、
会社が誰かに対して負っている可能性のあるもの
として、負債に分類します。
まずは仕訳を見てみよう
例えば、会社の銀行口座に10万円の入金がありました。
しかし、現時点では何の入金なのか分かりません。
この場合、
借方:普通預金 100,000円
貸方:仮受金 100,000円
とします。
銀行預金は増えています。
一方で、
「この10万円は何のお金なのか、まだ分からない」
ので、
仮受金
として処理しています。
入金の内容が分かったら?
ここからが仮受金の重要なところです。
後日、入金の内容を確認したところ、
「これは取引先からの売掛金10万円の回収だった」
と分かったとします。
すると、仮受金を売掛金の回収に振り替えます。
例えば、
借方:仮受金 100,000円
貸方:売掛金 100,000円
です。
これで、
仮受金はゼロ
になります。
そして、
「取引先から売掛金を回収した」
という本来の取引に整理されます。
仮受金は「一時的な勘定科目」
ここはとても大切です。
仮受金は、
ずっと残しておくための勘定科目ではありません。
あくまでも、
「今は入金の内容が分からないから、とりあえずここに入れておこう」
という一時的なものです。
入金の内容が分かったら、
本来の勘定科目に振り替えます。
そのため、経理では仮受金の残高を定期的に確認して、
「この入金は何だったのか?」
を確認することが大切です。
仮受金の具体例
仮受金が使われる場面を見てみましょう。
① 誰からの入金か分からない
会社の銀行口座に、
50,000円
の入金がありました。
でも、入金名義だけでは誰からの入金なのか分かりません。
この場合、
いったん
仮受金
として処理しておき、あとで確認します。
② 何の代金か分からない
取引先から100,000円の入金がありました。
取引先からの入金であることは分かっています。
しかし、
売掛金の回収なのか、別の取引なのか分からない
という場合です。
この場合も、内容が確認できるまで仮受金として処理することがあります。
③ 金額が一致しない
売掛金100,000円に対して、
銀行口座には120,000円の入金があったとします。
「この20,000円は何だろう?」
となりますよね。
入金内容を確認するまで、分からない部分を仮受金として処理することがあります。
ただし、実際の処理は取引内容や会社の経理方針によって異なります。
「仮受金」と「売上」は違う
ここは初心者の方にぜひ覚えてほしいポイントです。
お金が入ってきたからといって、必ず売上になるわけではありません。
例えば、
商品を販売した
↓
売上が発生
↓
代金を受け取る
という場合は、
売上
です。
一方、
銀行口座に入金された
↓
何のお金か分からない
↓
仮受金
です。
つまり、
「お金が入った」という事実だけでは、何の取引なのかは分からない
ということです。
会計では、
「お金が動いた理由」
を確認することが大切です。
仮受金と「預り金」は何が違う?
仮受金とよく似ている勘定科目に、
預り金
があります。
どちらも「会社が受け取ったお金」なので、混同しやすいですよね。
でも、ポイントはかなりシンプルです。
仮受金
何のお金なのか、まだ分からない
↓
あとで確認する
↓
仮受金
預り金
誰のお金なのか、何のためのお金なのかが最初から分かっている
↓
一時的に会社が預かっている
↓
預り金
です。
預り金の代表例
預り金には、例えば次のようなものがあります。
- 給与から預かった所得税
- 給与から預かった住民税
- 給与から預かった社会保険料
これらは、
「誰のお金なのか」
が最初から分かっています。
例えば、社員の給与から所得税を10,000円預かったとします。
この10,000円は、
会社の収益ではありません。
会社が一時的に預かって、あとで税務当局などに納付するお金です。
そのため、
預り金
として処理します。
仮受金と預り金を比べてみよう
| 仮受金 | 預り金 | |
|---|---|---|
| お金を受け取る | ○ | ○ |
| 内容 | まだ分からない | 最初から分かっている |
| 誰のお金か | まだ確認できていない | 分かっている |
| その後 | 本来の勘定科目に振り替える | 本来の相手に支払う |
| 分類 | 負債 | 負債 |
| イメージ | 「とりあえず受け取った」 | 「預かっている」 |
一言でいうと、
仮受金=「何のお金か、まだ分からない」
預り金=「誰のお金か分かっていて、預かっている」
です。
「仮払金」と「仮受金」は反対のイメージ
ここで、⑤のシリーズで紹介した、
仮払金
と比べてみましょう。
この2つは名前が似ています。
そして、考え方も対照的です。
仮払金
とりあえず払った
↓
まだ何に使ったか分からない
↓
あとで精算する
仮受金
とりあえず受け取った
↓
まだ何のお金か分からない
↓
あとで内容を確認する
仮払金と仮受金を並べると分かりやすい
| 仮払金 | 仮受金 | |
|---|---|---|
| お金 | とりあえず払う | とりあえず受け取る |
| まだ分からないこと | 何にいくら使うか | 何のお金なのか |
| 分類 | 資産 | 負債 |
| その後 | 費用などに振り替える | 売掛金などに振り替える |
| イメージ | 「とりあえず払っておこう」 | 「とりあえず受け取っておこう」 |
このように考えると、
仮払金と仮受金は、かなり対照的な勘定科目
だと分かります。
仮受金は「お金の正体を確認するための仮置き場」
仮受金をイメージするときは、
「お金の正体がまだ分からないから、一時的に置いておく場所」
と考えると分かりやすいでしょう。
例えば、
銀行口座に10万円入金
↓
「誰から?」
↓
「何のため?」
↓
「売掛金の回収?」
↓
「別の取引?」
↓
内容を確認
↓
本来の勘定科目に振り替える
という流れです。
仮受金を長期間残してはいけない
仮受金は便利な勘定科目ですが、
「分からないから、とりあえず仮受金」
のまま放置するのはよくありません。
仮受金が長期間残っていると、
「このお金は何だったの?」
ということが分からなくなってしまいます。
そのため、経理では、
入金内容を確認する
↓
本来の勘定科目に振り替える
という処理をできるだけ早く行います。
特に決算時には、仮受金の残高について、
「まだ内容が分からない入金が残っていないか?」
を確認することが重要です。
迷ったら「このお金は何?」と考えよう
仮受金が出てきたら、
「このお金は何のお金?」
と考えてみてください。
答えがまだ分からないのであれば、
仮受金
を考えます。
そして、
「売掛金の回収だった」
「借入金だった」
「預り金だった」
など、内容が分かったら、
正しい勘定科目に振り替える
という流れです。
仮受金を一言でいうと?
仮受金を一言でまとめるなら、
「受け取ったけれど、何のお金なのかまだ分からないため、一時的に処理しておくお金」
です。
大切なのは、
入金=売上ではない
ということ。
お金が入ってきたときには、
「この入金は何のためのお金なのか?」
を確認する必要があります。
まとめ
仮受金について、ポイントを整理してみましょう。
- 仮受金は、とりあえず受け取ったお金
- 何のための入金なのか、まだ分からないときに使う
- 入金=売上とは限らない
- 仮受金は負債に分類される
- 入金内容が分かったら、本来の勘定科目に振り替える
- 仮受金は一時的な勘定科目
- 長期間そのままにせず、入金内容を確認することが大切
そして、預り金との違いは、
仮受金=「何のお金か、まだ分からない」
預り金=「誰のお金か分かっていて、一時的に預かっている」
です。
さらに、仮払金との関係で考えると、
仮払金=「とりあえず払った」
仮受金=「とりあえず受け取った」
と覚えることができます。
簿記で「仮受金」が出てきたら、
「お金は入ってきた。でも、このお金は何?」
と考えてみてください。
その「?」が解消されるまで、一時的に置いておく場所が、
仮受金
です。
会計では、「お金が入った」という事実だけでなく、「なぜ入ってきたのか?」を考えることが大切です。


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