「試算表とは何か」は分かったけれど、
「実際に試算表をどう見ればいいの?」
と思っていませんか?
試算表は、勘定科目と数字がたくさん並んでいるので、最初は少し難しく見えます。
でも、見るポイントを押さえれば、それほど難しくありません。
この記事では、試算表の基本的な見方を、具体的な数字を使ってわかりやすく解説します。
試算表は何を見るための表?
まず、試算表の役割を簡単に確認しておきましょう。
試算表とは、総勘定元帳に記録されている勘定科目を一覧にした表です。
例えば、次のような勘定科目が並びます。
- 現金
- 預金
- 売掛金
- 買掛金
- 借入金
- 売上
- 仕入
- 給料
- 地代家賃
つまり、試算表を見ると、会社のさまざまな勘定科目の金額をまとめて確認できるわけです。
まずは試算表の形を見てみよう
例えば、次のような残高試算表があったとします。
| 勘定科目 | 借方残高 | 貸方残高 |
|---|---|---|
| 現金 | 197,000円 | |
| 売掛金 | 300,000円 | |
| 仕入 | 500,000円 | |
| 買掛金 | 197,000円 | |
| 売上 | 800,000円 | |
| 合計 | 997,000円 | 997,000円 |
最初に見るポイントは、
「どの勘定科目が、借方にあるのか?貸方にあるのか?」
です。
そして、もう一つ大切なのが、
「その勘定科目はいくら残っているのか?」
ということです。
① 勘定科目を見る
まずは左側の「勘定科目」を見ます。
例えば、
- 現金
- 売掛金
- 仕入
- 買掛金
- 売上
などが並んでいます。
ここで重要なのは、勘定科目にはそれぞれ役割があるということです。
例えば、
- 現金 → 資産
- 売掛金 → 資産
- 買掛金 → 負債
- 売上 → 収益
- 仕入 → 費用
というように分類できます。
この分類が分かると、試算表がかなり読みやすくなります。
② 借方と貸方を見る
次に見るのが、借方と貸方です。
試算表では、勘定科目の残高が借方または貸方に表示されます。
例えば、現金は、
借方残高 197,000円
となっています。
これは、現金という資産が197,000円残っているという意味です。
一方、買掛金は、
貸方残高 197,000円
となっています。
これは、まだ支払っていない買掛金が197,000円残っているということです。
③ 「残高」を見る
試算表を見るときに、初心者が特に意識したいのが残高です。
残高とは、簡単にいうと、
その勘定科目について、最終的にいくら残っているか
ということです。
例えば現金について、
150,000円入った
+
50,000円入った
-
3,000円支払った
という取引があったとします。
すると、
150,000円 + 50,000円 − 3,000円 = 197,000円
となります。
この197,000円が、現金の残高です。
④ 資産はどこを見る?
資産の勘定科目は、基本的に借方残高になります。
例えば、
- 現金
- 預金
- 売掛金
- 商品
- 建物
- 備品
などです。
試算表で現金が「借方197,000円」となっていれば、
現金が197,000円残っている
と読むことができます。
⑤ 負債はどこを見る?
負債の勘定科目は、基本的に貸方残高になります。
例えば、
- 買掛金
- 未払金
- 借入金
などです。
例えば、買掛金が貸方197,000円なら、
まだ支払っていない買掛金が197,000円ある
という意味です。
⑥ 収益と費用を見る
試算表を見るときは、会社の利益に関係する数字も確認できます。
例えば、
売上 → 収益
仕入・給料・地代家賃など → 費用
です。
売上がどれくらいあるのか、費用がどれくらい発生しているのかを見ることで、会社の利益がどのように生まれているのかを考えることができます。
借方と貸方の合計は一致する
試算表でよく出てくるのが、
「借方合計と貸方合計は一致する」
というルールです。
先ほどの試算表では、
借方合計 997,000円
貸方合計 997,000円
となっています。
これは、複式簿記では、1つの取引を借方と貸方の両方に同じ金額で記録するためです。
例えば、
仕入 100,000円 / 現金 100,000円
という仕訳なら、借方にも100,000円、貸方にも100,000円が記録されます。
こうした仕訳を積み重ねていくため、試算表でも借方と貸方の合計が一致します。
「合計が合う=すべて正しい」ではない
ここは注意したいポイントです。
借方と貸方の合計が一致していても、すべての仕訳が正しいとは限りません。
例えば、
本当は「消耗品費」10,000円だったのに、間違えて「交際費」10,000円として仕訳したとします。
金額そのものは合っているので、借方と貸方の合計も一致します。
つまり、
「借方と貸方が一致している」=「仕訳の内容まですべて正しい」
ではありません。
試算表はあくまでも、会計記録を確認するための一つの資料です。
ちょっと実務の話:試算表って、今でも見るの?
ここまで試算表について説明してきましたが、ここで少し実務の話をしてみましょう。
簿記の勉強では、試算表はとても重要なものとして登場します。
でも、現在の経理では、会計ソフトや会計システムを使っている会社が多くなっています。
仕訳を入力すれば、総勘定元帳や試算表はシステムが自動的に作成してくれます。
そのため、昔のように、紙に仕訳を書いて、そろばんや電卓で集計して、
「あれ?借方と貸方が合わない。どこかで計算を間違えたかな?」
と、一から確認する必要性は小さくなっています。
そう考えると、
「じゃあ、試算表ってわざわざ見る必要があるの?」
と思うかもしれません。
実は、実務では試算表を日常的にはほとんど見ない人もいます。
例えば、経営状況を確認したいのであれば、試算表よりも貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)を直接見るほうが分かりやすいことがあります。
また、経営管理では、予算との比較や前年との比較、増減理由などをまとめたManagement Report(経営管理資料)を見ることもあります。
一方で、試算表がなくなったわけではありません。
例えば、決算や監査の場面では、試算表が重要な資料になります。
特に監査法人からは、試算表の提出を求められることがよくあります。
監査では、試算表を出発点として、総勘定元帳や仕訳、財務諸表などの数字を確認していくためです。
会計サプリのひとこと
私自身、普段の経理業務で試算表を見る機会は、それほど多くありません。
会計システムが数字を自動的に集計してくれますし、経営状況を確認するときは、BSやPL、Management Reportを見ることのほうが多いからです。
一方で、監査法人からは試算表の提出を求められることがあります。
そのため、試算表は「毎日の経理担当者が必ず見る資料」というより、「会計データを一覧で確認するための基礎資料」と考えると、現在の実務にもつながりやすいでしょう。
日本の「試算表」と海外の「Trial Balance」
ここで、もう一つ少し面白い話があります。
日本の経理では、「月次試算表」という言葉が、会社によっては経営管理用の月次資料に近い意味で使われることがあります。
しかし、海外の会計実務では、Trial Balance(TB)とManagement Report / Management Accountsは基本的に別のものです。
Trial Balanceは、総勘定元帳の残高などを一覧にした「試算表」です。
一方、Management Reportは、P/LやB/S、予算差異、前年同期比較、KPIなどをまとめた経営管理のためのレポートです。
そのため、日本で「試算表」と呼んでいる資料を海外の人にそのままTrial Balanceと言うと、少し話がかみ合わないことがあります。
英語では、その資料が何のために作られているのかを考えて、Trial Balance、Management Report、Management Accountsなどを使い分けるとよいでしょう。
試算表を見るときのポイント
試算表を見るときは、最初からすべての数字を細かく見る必要はありません。
まずは次の順番で見てみましょう。
- 勘定科目を見る
- 借方・貸方のどちらに残高があるかを見る
- 残高の金額を見る
- 売上や費用など、利益に関係する数字を見る
- 前月や前年と比べて大きく変わった数字がないか確認する
特に実務では、最後の「前月や前年と比べて変化している数字を見る」ことが重要になります。
単に「数字が合っているか」だけではなく、
「なぜこの数字になっているのか?」
を考えることが、経理や会計の仕事につながっていきます。
試算表の数字は、最終的にどこへ行く?
試算表の数字は、最終的には財務諸表につながっていきます。
大きな流れで見ると、
取引
↓
仕訳
↓
仕訳帳
↓
総勘定元帳
↓
試算表
↓
貸借対照表・損益計算書
つまり、試算表は帳簿と財務諸表の間にある重要なステップです。
まとめ
試算表を見るときは、まず勘定科目・借方・貸方・残高の4つを意識しましょう。
ポイントをまとめると、
- 勘定科目ごとの残高を一覧で確認する
- 借方・貸方のどちらに残高があるかを見る
- 資産や負債、収益、費用などの数字を確認する
- 借方合計と貸方合計が一致することを確認する
- ただし、合計が一致していても仕訳の内容が正しいとは限らない
- 現在は会計システムによって集計が自動化されている
- 実務ではBS・PLやManagement Reportを見ることも多い
- 監査や決算では、試算表が重要な資料になる
簿記の勉強では、試算表はとても重要なポイントとして登場します。
一方で、実務では会計システムの普及によって、昔とは使われ方が少し変わっています。
大切なのは、試算表を作ることそのものではなく、
「この数字は何を意味しているのか?」
を理解することです。
仕訳帳、総勘定元帳、T字勘定、そして試算表。
ここまでつながってくると、簿記の「数字の流れ」がかなり見えてきます。


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