会計原則とは?なぜ会計にはルールがあるの?

会計の考え方

簿記を勉強していると、「発生主義」「費用収益対応」「継続性」など、いろいろな会計のルールが出てきます。

でも、そもそも「なぜ会計には、こんなにルールがあるのでしょうか?」

会社がそれぞれ好きなように会計をしてはいけないのでしょうか?

この記事では、個別のルールを詳しく覚える前に、まず「会計原則とは何なのか」を考えてみましょう。

会計原則とは?

簡単にいうと、会計原則とは、

会計を行うときの基本的な考え方やルール

のことです。

会社の取引を帳簿に記録し、財務諸表を作るときには、一定の考え方に従って処理する必要があります。

なぜなら、会社ごとに好き勝手な方法で会計をしてしまうと、会社同士を比較できなくなってしまうからです。

もし、会計にルールがなかったら?

ちょっと極端な例で考えてみましょう。

2つの会社が、まったく同じ100万円の機械を購入したとします。

A社

100万円を

今年の費用

にする

B社

100万円を

5年間に分けて費用

にする

もし、このようなことが会社の自由だったらどうでしょうか。

同じような取引をしている会社なのに、会計処理の方法によって利益が大きく違って見えることになります。

これでは、財務諸表を見ている人は、会社の本当の姿を比較しにくくなってしまいます。

会計原則は「みんなが同じ土俵で会計する」ためにある

そこで、会計には一定のルールや基本的な考え方が必要になります。

会計原則

↓

会計処理について
一定の考え方を共有する

↓

会社ごとの財務諸表を
比較しやすくする

つまり、会計原則には、「会社によって会計のやり方がバラバラにならないようにする」という大切な役割があります。

会計は「利益を計算するだけ」ではない

ここで、もう一つ大切なことがあります。

会計の目的は、単純に「今年はいくら儲かったのか」を計算することだけではありません。

会社の財務諸表を見るのは、経営者だけではありません。

  • 株主
  • 投資家
  • 銀行などの債権者
  • 取引先
  • その他の利害関係者

こうした人たちが、会社の状況を判断するためにも財務情報が使われます。

だからこそ、会計には「できるだけ適切な情報を、一定のルールに基づいて提供する」ことが求められます。

会計原則は「利益を好きなように作らない」ためにも重要

例えば、ある会社が今年の利益を多く見せたいと考えたとします。

もし会計にルールがなければ、

今年の利益を増やしたい

↓

費用をできるだけ来年に回す

↓

今年の利益が増える

ということが簡単にできてしまいます。

もちろん、実際の会計ではそんな自由なことはできません。

例えば発生主義や費用収益対応の考え方などによって、いつ収益や費用を認識するのかについて一定の考え方があります。

つまり会計原則は、「利益を都合よく作るための会計」にならないようにするための土台でもあるのです。

代表的な会計原則

会計には、さまざまな基本的な考え方があります。

例えば、次のようなものです。

考え方ざっくりいうと
発生主義お金の動きだけではなく、収益や費用が発生した時点を重視する
費用収益対応収益と、その収益を生み出すための費用を対応させる
継続性会計処理を継続して行い、期間ごとの比較可能性を保つ
重要性重要な情報を適切に扱い、重要性の低いものまで過度に複雑にしない
保守主義不確実な状況では、利益や資産を過大に表示しないよう慎重に考える

これらは、それぞれ別々のルールに見えるかもしれません。

でも、根っこにあるのは、

「会社の実態を、できるだけ適切に財務諸表に表そう」

という考え方です。

会計原則は「暗記するもの」なの?

簿記の試験では、会計原則の名前や定義を覚える場面があります。

でも、実際の会計を理解するうえでは、単に名前を暗記するだけでは少しもったいないと思います。

例えば、

「費用収益対応の原則」

という言葉を覚えるだけではなく、

「なぜ、収益と費用を対応させる必要があるの?」

と考えてみる。

すると、減価償却についても理解しやすくなります。

100万円の機械を購入

↓

その機械は何年間も使う

↓

何年間も売上を生み出す

↓

費用も使用期間に対応させる

↓

減価償却

このように、「なぜ?」を考えると、個別の会計処理がつながってきます。

会計原則は「会計の地図」のようなもの

簿記を勉強していると、最初は一つひとつの仕訳を覚えることに精一杯になります。

しかし、少しずつ勉強を進めていくと、

「この仕訳は、なぜこうなるんだろう?」

という疑問が出てきます。

そのときに役立つのが、会計原則の考え方です。

会計原則

↓

「会計は、こういう考え方で処理しよう」

↓

個々の会計処理

↓

仕訳・決算・財務諸表

そう考えると、会計原則は、個々の仕訳よりも一段上にある「会計の考え方」だとイメージできます。

会計原則を知ると、簿記の見え方が変わる

簿記の勉強をしていると、最初は、

「この場合は借方、この場合は貸方」

と、一つひとつの仕訳を覚えていくことになります。

でも、その先には、

「そもそも、なぜこの処理をするのか?」

という会計の考え方があります。

例えば、

  • 売掛金がある
  • 貸倒引当金を計上する
  • 実際に貸し倒れたら処理する
  • 減価償却をする
  • 前払費用を期間に応じて費用化する

これらは一見すると、それぞれ別々の簿記の問題に見えます。

しかし、その背景には、「収益や費用を適切な期間に認識し、会社の実態を財務諸表に表そう」という共通した考え方があります。

まとめ

会計原則とは、簡単にいうと、

会計を行うための基本的な考え方やルール

です。

会計原則があることで、会社ごとに好き勝手な会計処理をするのではなく、一定の考え方に基づいて財務諸表を作ることができます。

そして、会計原則は単に「試験のために暗記するもの」ではありません。

個々の会計処理について、

「なぜ、こういう処理をするの?」

と考えたとき、その理由を理解するための大切な手がかりになります。

仕訳や決算の処理を一つひとつ覚えるだけでなく、その背景にある会計の考え方まで理解する。

そうすると、これまでバラバラに見えていた会計処理が、少しずつつながって見えてきます。

会計は、暗記するだけではなく、考えるともっと面白くなります。

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