会計では、「継続企業の前提」という考え方があります。
英語ではGoing Concern(ゴーイング・コンサーン)と呼ばれます。
簡単にいうと、
会社は、これからも事業を続けていくものとして
会計を行う
という考え方です。
「会社はこれからも続く」と考える
例えば、会社が1,000万円の機械を購入したとします。
その機械を10年間使う予定なら、購入した年に1,000万円をすべて費用にするのではなく、使用する期間にわたって減価償却していきます。
1,000万円の機械を購入
↓
これから何年も事業で使う
↓
使用期間にわたって費用配分する
このような会計処理ができるのも、会社がこれからも事業を続けることを前提としているからです。
もし会社がすぐに事業をやめるなら?
では、会社が近いうちに事業をやめることになっていたらどうでしょうか。
「これから何年も事業を続ける」という前提で、機械を10年間使うものとして考えることが、そのまま適切とは限りません。
会社が事業を継続する
↓
資産を使って事業を行う
会社が事業をやめる
↓
「事業を続ける」ことを前提にした考え方を見直す必要がある
つまり、会社が事業を継続できるのかということは、会計を考えるうえでも重要なのです。
「続けられるか怪しい」=すぐに前提がなくなる、ではない
ここは、ゴーイング・コンサーンを理解するうえで大切なポイントです。
例えば、会社の資金繰りが非常に厳しくなり、事業を続けられるかどうかに不安が出てきたとします。
この場合でも、すぐに「会社は事業を続けられない」と決まったわけではありません。
資金繰りが厳しい
↓
事業を続けられるか不確実
↓
継続企業の前提に重要な不確実性がある
↓
それでも資金調達などで
事業を続けられる可能性はある
このような場合には、継続企業の前提について慎重に検討し、必要な情報を財務諸表の利用者に提供することが重要になります。
では、継続企業の前提が成り立たなくなったら?
一方で、会社を清算することが決まっているなど、これからも事業を続けるという前提で財務諸表を作ることが適切ではなくなった場合は、話が変わります。
例えば、1,000万円で購入した機械があったとします。
通常であれば、これから事業で使用していくことを前提として、耐用年数にわたって減価償却していきます。
しかし、会社が事業をやめることになり、その機械をもう事業で使わないのであれば、
「これから10年間使う」
という前提そのものがなくなります。
そのため、継続企業を前提とした通常の会計処理をそのまま続けることが適切なのかを見直す必要が出てきます。
つまり、ゴーイング・コンサーンが成り立たなくなるというのは、単に「会社の業績が悪い」という話ではありません。
「会社はこれからも事業を続ける」という、会計の土台そのものに問題が生じるということです。
「継続性の原則」とは違う
ここは、名前が似ているので注意しましょう。
継続企業の前提
「会社は続いていく」
会社が将来にわたって事業を継続することを前提とする。
継続性の原則
「会計処理を続けて使う」
一度採用した会計処理を、理由なく毎期変更しない。
名前は似ていますが、意味は違います。
「会社が続く」という話なのか、「会計処理を続ける」という話なのかで区別すると分かりやすいでしょう。
なぜ「前提」が必要なの?
会計では、会社が事業を続けることを前提にすることで、さまざまな会計処理を合理的に行うことができます。
例えば、固定資産の減価償却もその一つです。
会社が事業を続ける
↓
資産を使って収益を生み出す
↓
資産の取得原価を使用期間にわたって費用配分する
このように、ゴーイング・コンサーンは、さまざまな会計処理を考えるときの土台となる重要な考え方なのです。
継続企業の前提を一言でいうと
「会社は、これからも事業を続けていく」
これが、継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)を理解する一番シンプルなイメージです。
まとめ
継続企業の前提とは、
会社が将来にわたって事業を継続するものとして、
会計を行うという考え方
です。
ポイントは、
- 「継続企業の前提」はゴーイング・コンサーンとも呼ばれる
- 会社が事業を続けることを前提として、さまざまな会計処理が行われる
- 事業を続けられるか不確実な場合でも、直ちに前提がなくなるわけではない
- 事業を続けることができない状況になれば、通常の会計処理をそのまま続けることが適切か見直す必要がある
- 「継続企業の前提」と「継続性の原則」は別の考え方
「継続企業の前提」は、
会計を行うときの「会社はこれからも続く」という土台です。


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