経理の仕事を始めたばかりの頃、
「この科目は旅費交通費かな?」
「これは広告宣伝費かな?」
と、PL(損益計算書)の科目ばかり気にしていた記憶があります。
もちろん、それは間違いではありません。
経費精算や請求書処理などの日常業務では、PL科目に触れる機会が多いからです。
しかし経理経験を積んでいくと、だんだん気になるものが変わってきます。
売掛金は回収できているだろうか。
前払費用は適切だろうか。
仮払金は残っていないだろうか。
つまり、BS(貸借対照表)を見る機会が増えていくのです。
今回は、BS科目とPL科目の違いについて、経理実務の視点から考えてみたいと思います。
BSとPLは根本的に性質が違う
BSとPLの違いを一言で表すなら、
- PLはフロー(Flow)
- BSはストック(Stock)
です。
👉 PLは「一定期間の動き」、BSは「ある時点の状態」
簿記を勉強した時には覚えたかもしれませんが、この考え方は実務でも非常に重要です。
PL科目は会社の活動を表す
PL(損益計算書)は、一定期間の会社の活動を表しています。
例えば、
- 売上高
- 給与手当
- 広告宣伝費
- 旅費交通費
- 支払手数料
などです。
これらは、
「今年1年間でいくら発生したのか」
を表しています。
つまり流れ(フロー)です。
私はPLをよく「動画」に例えます。
会社が一定期間にどのような活動を行ったのかを映しているからです。
売上が増えた。
経費が増えた。
利益が出た。
こうした会社の活動結果を見るのがPLです。
BS科目は会社の状態を表す
一方でBS(貸借対照表)は、ある時点の会社の状態を表します。
例えば、
- 現金預金
- 売掛金
- 前払費用
- 固定資産
- 買掛金
- 借入金
などです。
これらは、
「決算日時点でいくら残っているか」
を表しています。
つまりストックです。
こちらは「写真」のようなものです。
ある瞬間の会社の姿を切り取ったものと言えるでしょう。
👉 PLは動画、BSは写真
この違いを理解すると、財務諸表がかなり分かりやすくなります。
利益が出ていても安心とは限らない
経理経験が浅い頃は、利益ばかりに目が向きがちです。
確かに利益は重要です。
しかし、利益だけでは会社の健康状態は分かりません。
例えば、
「今年は1,000万円の利益が出ました」
という会社があったとします。
一見すると順調そうです。
しかし、
- 売掛金が回収できていない
- 在庫が大量に積み上がっている
- 借入金が増えている
- 現金がほとんど残っていない
という状況ならどうでしょうか。
実は資金繰りが厳しいかもしれません。
将来的なリスクを抱えているかもしれません。
こうした問題は、PLではなくBSを見ることで見えてきます。
新人はPLを見て、ベテランはBSを見る
少し極端な言い方かもしれませんが、
新人はPLを見て、 ベテランはBSを見る。
そんな傾向があるように感じます。
新人の頃は、
- 旅費交通費
- 交際費
- 通信費
- 広告宣伝費
などのPL科目が気になります。
しかし経験を積むと、
- 売掛金
- 未払金
- 前払費用
- 仮払金
- 固定資産
などのBS科目が気になるようになります。
なぜなら、会社の問題や課題はBSに現れることが多いからです。
そしてBSを見るようになると、会社のお金の流れが立体的に見えてくるようになります。
仕訳はBSとPLをつなぐもの
実は、すべての仕訳はBSとPLをつないでいます。
例えば売上計上なら、
- PL:売上高
- BS:売掛金
が増えます。
減価償却なら、
- PL:減価償却費
- BS:固定資産
に影響します。
経理初心者の頃は仕訳だけを見ています。
しかし成長すると、
「この仕訳はBSとPLにどう影響するのだろう」
と考えるようになります。
この視点が身につくと、会計の理解は大きく深まります。
まとめ
- PLはフロー(一定期間の動き)
- BSはストック(ある時点の状態)
- PLは会社の活動を表す
- BSは会社の状態を表す
- 利益だけでは会社の実態は分からない
- 会社の課題はBSに現れることが多い
- 経理として成長するとBSを見る機会が増える
私自身も新人の頃は、PL科目ばかり見ていました。
しかし経験を積むにつれて、売掛金や前払費用、未払金などのBS科目を見る時間が増えていきました。
BSを見るようになると、会社のお金の流れや状態が見えてきます。
そして、経理の仕事がより面白く感じられるようになります。
👉 経理として一段成長したいなら、PLだけでなくBSにも目を向けてみましょう。会社の見え方が大きく変わるはずです。


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