経理の仕事を始めたばかりの頃、私は一つだけ意識していたことがあります。
それは、
「すべての仕事には理由があるはずだ。」
ということです。
仕訳にも理由があります。
勘定科目にも理由があります。
確認する順番にも理由があります。
ダブルチェックにも理由があります。
だから私は、新しい仕事を教わるたびに、
「なぜ、この仕事をするのだろう。」
と考えるようにしていました。
今振り返ると、この習慣が私のキャリアを大きく変えてくれたように思います。
仕事には、必ず理由がある
例えば、
「請求書と注文書を照合してください。」
と言われたとします。
もちろん、言われたとおり確認すれば仕事は終わります。
でも私は、
「なぜ照合するのだろう。」
と考えます。
すると、
- 金額の誤りを防ぐため
- 架空請求を防ぐため
- 誤発注を防ぐため
という目的が見えてきます。
理由が分かると、その仕事は単なる作業ではなく、
意味のある仕事
へと変わります。
「どうやるか」より、「なぜやるのか」
経理では、
「この仕訳で処理してください。」
と言われることがあります。
そのとき、
仕訳だけを覚える人と、
「なぜ、この仕訳になるのだろう。」
と考える人では、
数年後、大きな差が生まれます。
私は、
「どうやるか」よりも、「なぜやるのか」を理解すること
が大切だと思っています。
「なぜ」を考えると、質問の質が変わる
「この仕訳は何ですか?」
という質問も悪くありません。
でも、
「なぜ、この仕訳になるのですか?」
という質問は、
答えだけではなく、
考え方まで教えてもらえます。
さらに、
「私はこう考えたのですが、この理解で合っていますか?」
という質問になると、
より深いアドバイスをもらえるようになります。
良い質問ができる人は、
良い答えだけではなく、
良い考え方を身につけていきます。
「なぜ」は改善の第一歩
私は、
改善とは、
「なぜ?」
から始まると思っています。
例えば、
- なぜ、この資料を毎月作っているのだろう。
- なぜ、この承認が必要なのだろう。
- なぜ、この作業に30分もかかるのだろう。
- なぜ、この確認を二人でしているのだろう。
理由を考えると、
「もっと良い方法があるのではないか。」
という発想が自然に生まれます。
改善案は、
突然ひらめくものではありません。
「なぜ」を考え続けた先に見えてくるものなのです。
「なぜ?」はトレーニングで身につく
「私は、そんなに考えられません。」
そう思う人もいるかもしれません。
でも私は、
「なぜ」を考える力は、
才能ではなく習慣だと思っています。
最初は難しくても構いません。
身の回りのことから始めれば十分です。
例えば、
- なぜ、この順番で仕事をするのだろう。
- なぜ、この勘定科目を使うのだろう。
- なぜ、この会議は毎月あるのだろう。
- なぜ、この会社はこのルールなのだろう。
仕事以外でも構いません。
- なぜ、このスーパーはこの配置なのだろう。
- なぜ、このWebサイトは見やすいのだろう。
- なぜ、このお店はいつも混んでいるのだろう。
日常には、
「なぜ?」
がたくさんあります。
この習慣が身につくと、
仕事でも自然と「なぜ」を考えられるようになります。
「なぜ」を考える人は、次のキャリアへ進める
私は、
経理のキャリアは、
「作業をする人」
から、
「仕事を設計する人」
へ変わっていくと思っています。
最初は、
正しく処理することが大切です。
でも、経験を積むと、
求められることが変わります。
例えば、
- この業務フローで本当に良いのだろうか。
- なぜ、この承認が必要なのだろう。
- この内部統制でリスクは防げているだろうか。
- この作業はシステム化できないだろうか。
- この数字は、会社に何を伝えているのだろう。
こうした仕事には、
すべて
「なぜ?」
があります。
つまり、
「なぜ」を考える習慣は、
業務改善、
業務フロー設計、
内部統制、
システム導入、
経営管理、
監査対応など、
経理として次のステージへ進むための土台になります。
まとめ
- すべての仕事には理由がある
- 「どうやるか」より、「なぜやるのか」を考える
- 「なぜ」を考えると質問の質が変わる
- 「なぜ」は改善の第一歩になる
- 日常生活でも「なぜ」はトレーニングできる
- 「なぜ」を考える習慣が、経理として次のキャリアにつながる
私は、経理として長く仕事をしてきました。
その中で、一番役に立ったのは、
資格でも、
知識でも、
Excelの技術でもありませんでした。
「なぜ?」を考える習慣です。
一つひとつの仕事には、必ず理由があります。
その理由を理解すると、
仕事はただの作業ではなく、
仕組みを理解する仕事へと変わります。
そして、
「もっと良い方法はないだろうか。」
という改善の視点が生まれます。
私は、
経理として成長する人は、
答えをたくさん知っている人ではなく、
「なぜ?」を考え続ける人だと思っています。
その小さな習慣が、
いつか業務改善につながり、
業務フローを設計できる力になり、
内部統制を評価する力になり、
経営を支える力へと成長していきます。
経理のキャリアは、「なぜ?」という一つの問いから始まるのかもしれません。


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