会社が仕事で使うパソコンや車、機械、建物などを購入すると、
「このお金は、買った年に全部費用にするの?」
と疑問に思うことがあります。
例えば、100万円の機械を購入したとします。
この機械を5年間使うのであれば、
「100万円を買った年だけの費用にするのは、ちょっと違うのでは?」
と感じますよね。
そこで登場するのが、減価償却費です。
減価償却費とは簡単にいうと、
長く使う固定資産の取得金額を、使う期間に分けて費用にしていくもの
です。
この記事では、減価償却費について、初心者にもわかりやすく解説します。
減価償却費とは?
減価償却費とは、
固定資産の取得価額を、その資産を使う期間にわたって少しずつ費用にしていくときの費用
です。
例えば、100万円の機械を5年間使うとします。
簡単に考えて、5年間で均等に費用にすると、
100万円 ÷ 5年 = 20万円
となります。
この場合、毎年20万円を減価償却費として計上します。
つまり、
減価償却費=その年に対応する固定資産の費用
と考えると分かりやすいでしょう。
なぜ一度に費用にしないの?
ここが、減価償却を理解する一番大切なポイントです。
例えば、会社が100万円の機械を購入したとします。
この機械は、購入した年だけ使うわけではありません。
5年間使うとしましょう。
もし購入した年に、
100万円すべてを費用
にしてしまったらどうでしょうか?
購入した年だけ費用が大きくなります。
一方、2年目、3年目、4年目、5年目にも、その機械を使って仕事をしています。
それなのに、その後の年度には費用がまったく発生しないことになります。
そこで、
「機械を使っている期間にわたって、少しずつ費用にしよう」
と考えます。
これが減価償却です。
「買った年の費用」ではなく「使った期間の費用」
例えば、100万円の機械を5年間使う場合を考えてみましょう。
イメージとしては、
100万円を支払う
↓
5年間、機械を使う
↓
5年間にわたって費用にしていく
という流れです。
毎年20万円ずつなら、
| 年 | 減価償却費 |
|---|---|
| 1年目 | 20万円 |
| 2年目 | 20万円 |
| 3年目 | 20万円 |
| 4年目 | 20万円 |
| 5年目 | 20万円 |
| 合計 | 100万円 |
となります。
このように、
固定資産を使う期間に合わせて費用を配分する
のが減価償却費です。
減価償却するものは「長く使うもの」
では、どんなものが減価償却の対象になるのでしょうか?
代表的なものには、
- 建物
- 機械
- 車
- パソコン
- 備品
- 工具
などがあります。
共通しているのは、
「購入したあと、長期間にわたって使うもの」
ということです。
こうしたものを会計では、
固定資産
として扱います。
例えばパソコンなら?
会社が仕事用のパソコンを購入したとします。
パソコンを購入したからといって、
「その日に全部使い切った」
わけではありません。
購入後も何年かにわたって仕事で使います。
そのため、一定の要件を満たす固定資産については、取得したときに全額を費用にするのではなく、
使用する期間にわたって費用にしていきます。
これが減価償却です。
減価償却費は「お金を毎年払う」という意味ではない
ここも初心者が勘違いしやすいポイントです。
例えば、100万円の機械を購入したとします。
減価償却費が毎年20万円だからといって、
毎年20万円ずつ銀行からお金が出ていく
わけではありません。
お金は、基本的には機械を購入したときに支払っています。
その後、
会計上の費用として20万円ずつ計上していく
ということです。
つまり、
お金の動き
100万円を支払う
↓
会計上の処理
20万円ずつ費用にしていく
という違いがあります。
ここは、
「費用が発生するタイミング」と「お金を支払うタイミング」は必ずしも同じではない
という会計の重要なポイントにもつながります。
減価償却費の仕訳
では、実際の仕訳を見てみましょう。
100万円の機械について、1年間の減価償却費が20万円だったとします。
この場合、
借方:減価償却費 200,000円
貸方:減価償却累計額 200,000円
と仕訳します。
ここで、
「どうして貸方が減価償却累計額なの?」
と思うかもしれません。
これは、
減価償却費と減価償却累計額には、それぞれ役割がある
からです。
減価償却費と減価償却累計額の関係
簡単にいうと、
減価償却費=その年の分
減価償却累計額=今までの合計
です。
例えば、毎年20万円ずつ減価償却すると、
1年目
減価償却費:20万円
減価償却累計額:20万円
2年目
減価償却費:20万円
減価償却累計額:40万円
3年目
減価償却費:20万円
減価償却累計額:60万円
となります。
つまり、
その年に計上した減価償却費が、減価償却累計額に積み上がっていく
という関係です。
減価償却累計額って何?
「減価償却累計額」という言葉も、一緒に覚えておきましょう。
減価償却累計額とは、
これまでに計上した減価償却費の合計額
です。
例えば、100万円の機械について、
1年目に20万円
2年目に20万円
3年目に20万円
の減価償却をしたとします。
この場合、
20万円+20万円+20万円=60万円
です。
この60万円が、
減価償却累計額
です。
「累計」という言葉どおり、
今までの金額を積み上げたもの
と考えればOKです。
減価償却費と減価償却累計額を混同しないようにしよう
名前が似ているので、ここで整理しておきましょう。
減価償却費
その年の費用
↓
損益計算書に関係する
減価償却累計額
今までの減価償却費の合計
↓
貸借対照表で固定資産から差し引く
覚え方は簡単です。
「費」=その年の費用
「累計」=今までの合計
です。
減価償却すると固定資産の価額はどうなる?
例えば、100万円の機械を購入したとします。
3年間で60万円を減価償却した場合、
100万円 − 60万円 = 40万円
となります。
この40万円が、
帳簿価額
です。
つまり、
取得価額 − 減価償却累計額 = 帳簿価額
という関係になります。
イメージすると、
機械 100万円
↓
減価償却累計額 ▲60万円
↓
帳簿価額 40万円
です。
「価値が下がったから減価償却する」の?
ここは少し注意が必要です。
「減価償却」という言葉から、
「機械の市場価値が毎年20万円ずつ下がったから、20万円を費用にする」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、減価償却は単純に、
「市場での価値がいくら下がったか」
を測っているわけではありません。
基本的には、
固定資産の取得価額を、その資産を使用する期間に配分する
という会計上の考え方です。
つまり、
「買った機械の値段が毎年いくら下がったか」
というより、
「この機械を使う期間に、取得した金額をどう配分するか」
と考えるほうが理解しやすいでしょう。
減価償却の「耐用年数」とは?
減価償却をするときには、
何年間使うものとして費用を配分するのか
を決める必要があります。
この期間を、
耐用年数
といいます。
例えば、ある固定資産の耐用年数が5年なら、
基本的には5年間にわたって減価償却していきます。
ただし、実際の耐用年数は、単純に「会社が何年使うつもりか」で自由に決めるものではありません。
税務上の減価償却では、資産の種類などに応じて法定耐用年数が定められています。
そのため、実際の仕訳や税務申告では、対象となる資産の種類を確認する必要があります。
減価償却の方法はいくつかある
減価償却費は、必ず毎年同じ金額になるとは限りません。
代表的な方法として、
定額法
があります。
定額法では、一定の条件のもとで、毎期ほぼ一定額を減価償却していきます。
例えば、
100万円の資産を5年間で償却するなら、
100万円 ÷ 5年 = 毎年20万円
というイメージです。
ほかにも、
定率法
などの方法があります。
簿記の学習では、まずは、
「固定資産の取得価額を、使用期間にわたって費用にしていく」
という基本的な考え方を理解しておけば大丈夫です。
減価償却費は「現金が出ていかない費用」
もう一つ、重要なポイントがあります。
減価償却費は、
その年に現金を支払って発生する費用ではありません。
例えば、100万円の機械を購入したとします。
購入時に100万円を支払っています。
その後、毎年20万円ずつ減価償却費を計上しても、
そのたびに20万円の現金を支払うわけではありません。
そのため、
利益と現金の増減は一致しない
という会計の特徴を理解するうえでも、減価償却はとても重要です。
なぜ減価償却が必要なの?
減価償却をする理由を、もう一度考えてみましょう。
100万円の機械を5年間使うなら、
その機械は、
5年間の仕事に貢献する
と考えられます。
そのため、
100万円を5年間に分けて費用にする
ことで、
「その期間にどれくらいのコストを使って事業を行ったのか」
を分かりやすくできます。
つまり、減価償却には、
収益と、それを生み出すために使ったコストを対応させる
という意味があります。
減価償却費をイメージしてみよう
例えば、会社が100万円の機械を購入したとします。
この機械を5年間使うなら、
購入時
100万円を支払う
↓
1年目
20万円を費用にする
↓
2年目
20万円を費用にする
↓
3年目
20万円を費用にする
↓
4年目
20万円を費用にする
↓
5年目
20万円を費用にする
というイメージです。
ポイントは、
お金は最初に支払っているけれど、費用は少しずつ計上する
ということです。
まとめ
減価償却費について整理してみましょう。
- 減価償却費とは、固定資産の取得価額を使用期間にわたって費用にしていくもの
- 長期間使う固定資産について行われる
- その年に対応する金額が減価償却費になる
- 減価償却費は現金の支払いそのものではない
- 減価償却費は損益計算書の費用になる
- 計上した減価償却費は、減価償却累計額として積み上がっていく
一番大切なのは、
「高い固定資産を買ったから、その年に全部費用にする」のではなく、「使う期間に分けて費用にする」
という考え方です。
例えば、100万円の機械を5年間使うなら、イメージとして、
100万円 ÷ 5年 = 毎年20万円
ずつ費用にしていきます。
この毎年の20万円が「減価償却費」です。
そして、その20万円が積み上がったものが、
「減価償却累計額」
です。
減価償却費を理解すると、
「費用と現金はなぜ一致しないの?」
「固定資産はなぜ少しずつ費用になるの?」
といった、会計の基本的な考え方も見えてきます。
減価償却は、計算方法を覚える前に「なぜ分けて費用にするのか?」を理解すると、ぐっと分かりやすくなります。


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