経理として成長する人は「分からない」で終わらせない|AI時代の学び方

経理のお仕事・キャリア

経理の仕事をしていると、どうしても自分だけでは判断できないことが出てきます。

税務の難しい論点。
会計処理の判断。
監査人からの質問。
これまで経験したことのない取引。

そんなとき、税理士や公認会計士などの専門家に相談することは、とても大切です。

ただ、そこで専門家から答えをもらって、

「そういうものなのか」

で終わってしまうのは、少しもったいないかもしれません。

経理として一段上を目指すなら、

「なぜ、そうなるのだろう?」

と、自分でも考えてみる。

分からなければ調べる。
それでも分からなければ、さらに質問する。

そして、自分が納得できるところまで理解しようとする。

こうした積み重ねが、経理としての力になっていきます。

そして今は、AIという強力な「壁打ち相手」もあります。

私自身も日々の仕事の中でAIと対話しながら、分からないことや気になったことを掘り下げています。

この記事では、経理として成長するために「分からない」をそのままにしないことの大切さと、AIを使って理解を深める方法について考えてみます。

経理の仕事では「分からないこと」が必ず出てくる

経理の仕事をしていると、経験を積むほど、むしろ「分からないこと」に出会う機会が増えていくことがあります。

日常的な仕訳や請求書の処理など、繰り返し行う仕事は、少しずつ分かるようになります。

一方で、仕事の範囲が広がると、これまで扱ったことのない取引や、判断が難しいケースが出てきます。

たとえば、

  • これまでにない契約を会社が締結した
  • 海外との複雑な取引が発生した
  • 税務上の取り扱いがよく分からない
  • 会計処理について監査人から質問された
  • 会社として初めて行う取引が出てきた

こうした問題は、簿記のテキストにそのまま答えが載っているわけではありません。

だからこそ、経理として経験を積んでいくと、

「知っていること」だけではなく、「分からないことにどう向き合うか」

が重要になってきます。

専門家に聞くことは、決して悪いことではない

難しい問題が出てきたら、税理士や公認会計士などの専門家に相談する。

これは経理にとって、とても大切なことです。

特に税務や会計には、専門的な判断が必要になる場面があります。

すべてを経理担当者だけで判断しようとする必要はありません。

むしろ、分からないことをそのまま処理せず、専門家に確認すること自体が、適切な経理業務につながります。

ただし、ここで一つ意識したいことがあります。

「専門家に確認した」ことと、「自分は理解しなくていい」ことは、同じではありません。

専門家に相談したうえで、その内容を自分なりに理解してみる。

ここに、経理として成長する余地があります。

でも、「専門家がそう言った」で終わらせない

たとえば、税理士から、ある取引について、

「今回はこの処理で大丈夫です」

と言われたとします。

そこで、

「分かりました。では、その仕訳にしておきます」

で終わらせることもできます。

もちろん、それでも仕事としては進みます。

でも、もう一歩踏み込んでみる。

「なぜ、この処理になるのですか?」

「似たような取引でも、別の処理になるケースはありますか?」

「会計上の理由ですか? それとも税務上の理由ですか?」

「この処理によって、BSやPLにはどんな影響がありますか?」

と考えてみるのです。

そうすると、一つの仕訳を覚えるだけではなく、その仕訳に至る考え方を理解することができます。

これは、次に似たような取引が出てきたときに、大きな違いになります。

「なぜ?」まで理解すると、経理としての見え方が変わる

経理の仕事では、答えだけを覚えるよりも、理由を理解したほうが応用が利きます。

たとえば、

「この場合は、この勘定科目を使う」

と覚えるだけではなく、

「なぜ、この勘定科目になるのか?」

まで考えてみる。

すると、初めて見る取引でも、考えるための土台ができます。

これは会計サプリが大切にしている、

「会計は、覚えるものではなく、考えるもの。」

という考え方にもつながります。

経理としてレベルが上がっていくと、単に「正しい答えを知っている」だけではなく、

「なぜ、その答えになるのかを説明できる」

ことが大切になってきます。

AIは「分からない」を深掘りする相手になってくれる

そして今は、経理の仕事を学ぶうえで、AIという新しい道具があります。

AIの便利なところは、分からないことを何度でも質問できることです。

たとえば、専門家から難しい説明を受けたとします。

その内容について、AIに、

「この話を初心者にも分かるように説明して」

と聞いてみる。

さらに、

「具体例を使って説明して」

「反対のケースではどうなる?」

「なぜ、その処理が必要なの?」

「会計と税務では、考え方がどう違う?」

「この処理をするとBSとPLはどう変わる?」

と質問を重ねていく。

そうすると、最初は難しく感じた話でも、少しずつ自分の言葉で理解できるようになっていきます。

AIを「答えを教えてもらう道具」としてだけではなく、「理解するための相手」として使う。

これは、経理の学び方を大きく変える可能性があります。

AIとの壁打ちをする人と、しない人

私自身も、日々の仕事の中でAIを使って、分からないことや気になったことを何度も「壁打ち」しています。

最初から答えを求めているわけではありません。

「これはどういう意味?」
「なぜそうなる?」
「この考え方で合っている?」
「逆のケースならどうなる?」
「専門家からこう言われたけれど、本当にそうなの?」

と、何度もAIに問いかけます。

すると、一つの問題について考える時間と深さが、以前とは大きく変わってきます。

そして最近は、AIとの壁打ちをする人と、しない人では、少しずつ差が開いていくのではないかと感じることがあります。

もちろん、AIを使えば誰でも専門家になれる、という話ではありません。

そうではなく、「分からないことを、そのままにせず、何度でも考え直せる環境を持っているか」という違いです。

AIがなかった頃は、分からないことを調べるにも、それなりの時間と手間がかかりました。

専門家に質問するにも、相手の時間を使います。

そのため、「ここまでは聞かなくてもいいか」と、自分の中で疑問を終わらせてしまうこともあります。

今は違います。

AIには、どれだけ細かいことでも質問できます。

「まだ分からない」と言えば、別の角度から説明してもらうことができます。

「具体例で」と言えば具体例を出してもらえる。

「反対の場合は?」と聞けば、比較して考えることもできます。

つまり、自分が納得するまで思考を続けるための相手を、いつでも持てるようになったわけです。

この違いは、すぐには見えないかもしれません。

でも、一つの問題について何度も深く考える経験を積み重ねていけば、半年後、1年後には大きな差になっているかもしれません。

AIを使うことの本当の価値は、単に仕事を早く終わらせることだけではありません。

自分一人では途中で諦めていた「分からない」を、もう一歩、もう一歩と掘り下げられること。

そこに、AI時代の学び方の大きな可能性があるのだと思います。

専門家に質問するときも、「自分の考え」を持てるようになる

AIを使って理解を深めると、専門家とのやり取りにも変化が出てきます。

最初は、

「どう処理すればいいですか?」

と聞いていたものが、少しずつ、

「私はこういう理由で、この処理になるのではないかと考えています。ここについて確認したいです」

という質問ができるようになります。

これは、とても大きな違いです。

専門家の答えをそのまま受け取るのではなく、自分なりの考えを持ったうえで専門家に確認する。

すると、専門家との会話そのものが、自分の学びになります。

たとえば、

「この考え方は合っていますか?」

「もし○○だった場合はどうなりますか?」

「私はAだと思ったのですが、Bになる理由は何でしょうか?」

と聞けるようになる。

こうしたやり取りを重ねていくと、少しずつ専門的な話についていけるようになってきます。

専門家に任せるのではなく、専門家の力を借りながら、自分自身も理解していく。

これが、経理として成長していくうえで大切な姿勢なのだと思います。

AIを使っても、最後の判断まで人任せにしない

ここで、AIを使うときに一つ注意したいことがあります。

AIに聞けば、それですべて解決するわけではありません。

AIは、考え方を整理したり、分からないことを深掘りしたりするうえで、とても便利です。

一方で、実際の税務申告や重要な会計判断などでは、最新の法令や基準、会社の状況などを踏まえた確認が必要になることがあります。

そのため、

AI → 自分で考える → 資料を確認する → 必要なら専門家に確認する

という使い方が大切です。

AIに最終判断を丸投げするのではなく、自分の理解を深めるためにAIを使う。

そして、重要な判断については専門家の力も借りる。

このバランスが重要です。

⑨ 経理として一段上に行く人は、「調べる力」が強い

経理として経験を積んでいくと、すべてのことを暗記している人よりも、分からないことを自分で調べて解決できる人のほうが強い場面があります。

新しい問題が出てきたときに、

「分からないから、誰かに聞こう」

だけではなく、

「まず自分で調べてみよう」

と考えられる。

そして、調べた結果をもとに、

「ここまでは分かった。でも、ここが分からない」

と整理できる。

そうすれば、人に質問するときも、より具体的な質問ができます。

これはAIが登場した今でも変わりません。

むしろ、AIを使えるようになったことで、「調べる力」や「考える力」をさらに伸ばしやすくなったともいえます。

「分からない」を「分かる」に変えた経験が、自分の力になる

経理としての成長は、資格を一つ取ったから突然起こるものではありません。

日々の仕事の中で、

「これは何だろう?」

「なぜこうなるんだろう?」

「この処理で本当にいいのだろうか?」

と考える。

そして、調べる。

人に聞く。

AIにも聞いてみる。

さらに考える。

必要なら、専門家にもう一度確認する。

そうやって、最初は「分からない」だったことが、少しずつ「分かる」に変わっていきます。

この経験が一つ、また一つと増えていく。

すると、次に似たような問題が出てきたとき、

「前にも似たようなことを考えたことがある」

と思えるようになります。

それが、経理としての経験になり、判断力になり、そして自信にもつながっていきます。

まとめ|AI時代だからこそ、「分からない」で終わらせない

経理の仕事では、経験を積んでも分からないことがなくなるわけではありません。

むしろ、仕事のレベルが上がるほど、難しい問題に出会う機会も増えていきます。

だからこそ大切なのは、「分からないことがない状態」を目指すことではありません。

「分からないことが出てきても、そこから逃げずに理解しようとすること」です。

税理士や公認会計士などの専門家に相談することも大切です。

ただ、専門家から答えをもらって終わりにするのではなく、

「なぜ?」
「どうして?」
「別のケースでは?」

と、自分でも考えてみる。

そして今は、AIにも何度でも質問することができます。

分からなければ、もう一度聞く。
それでも分からなければ、さらに聞く。
自分の理解を説明して、間違っていないか確認する。

そうやって自分が納得するまで理解を深めていく。

もちろん、AIだけですべてを判断する必要はありません。

AIを使って理解を深め、必要なところでは専門家に確認する。

そうすれば、専門家にすべてを任せるのではなく、自分自身も専門的な話を理解し、考えられる経理に近づいていくことができます。

そして、そうした経験が積み重なっていけば、やがて専門家と話をするときにも、

「言われたことを聞く」だけではなく、「自分の考えを持って話す」

ことができるようになります。

経理として上のレベルを目指すというのは、何でも一人で判断できるようになることではありません。

分からないことを見つけ、調べ、考え、質問し、理解し、必要なときには専門家の力も借りながら、自分の仕事として考えられるようになること。

その積み重ねが、経理としての力を少しずつ引き上げていくのだと思います。

AI時代だからこそ、「分からない」で終わらせない。

分からないことを、理解を深めるチャンスに変えていきたいですね。

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